政府の学資ローンだけでは不足

CNBCがペイデーローンに興味がある約3700人の成人を対象に実施した調査では、最も強い関心を示したのはミレニアル世代(22~37歳)で、51%が「ペイデーローンの利用を真剣に検討している」と答えた。

しかし学生あるいは社会人になりたてのはずのZ世代(18~21歳)も38%が真剣に利用を検討しており、11%が「 大学にともなう費用を補うためにペイデーローンの利用を検討」、5%が「 過去2年で実際にペイデーローンを利用した経験がある」という結果だった。

ペイデーローンが若い世代を魅了している理由のひとつとして、一部の専門家は学資ローンを挙げている。

学資ローン情報サイト「studentloanhero.com」2018年6月25日付けの記事によると、政府が融資する学資ローンの上限は年間5000~1.25万ドルだが、この金額で学費や手数料がすべて補える大学は米国に1.55%しかない。ほとんどの大学の学費や手数料は、政府の上限を1.1万ドル以上上回る。

500ドルの負債が3カ月で1000ドルに

その結果、多くの学生が政府の学資ローンに上乗せして、民間の融資会社からも借り入れせざるを得ない。それでも生活費や急な出費に対応しきれず、新たな融資先を探す必要性が生じた場合、既に複数の融資を受けていると一般的な融資会社の審査に通りにくい。

そこで学生にも快く融資してくれるペイデーローンに走る学生が増える。しかし例えば平均金利391%、2週間の完済予定で500ドルを借りると、2週間後には575ドルを用意しなければならない。完済できないまま3カ月経過すると、1000ドルまで膨れあがる。あとはもう雪だるま式だ。

CNBCの取材に応じた21歳の学生は、「2週間だけペイデーローンを利用することを考えている」という。家賃とコミュニケーション料に回すはずだった学資ローンの払い戻しが、支払い期日の2週間後になるからだ。本人は「2週間だけ」と強調しているが、果たして本当に2週間で完済できるのだろうか?何らかの事情で払い戻しが遅れたり、急な出費が重なったりと、予期せぬ事態が起こるかもしれない。「すぐに返さなくてもいいなら、もう少し借りておこう」という誘惑に負けてしまう負債者も少なくないだろう。

利用者のほぼ4人に1人が9回以上再借り入れ

独立系非営利組織The Pew Charitable Trusts消費者金融部門のディレクター、ニック・ブールク氏はCNBCの取材で、「ペイデーローンは消費者をどっぷりつからせることで初めて、ビジネスとして成り立つ」ため、消費者がペイデーローンにどっぷりつかってしまうのは、「当然の成り行き」と指摘している。

ブールク氏によると、借り手が融資契約を4~8回更新あるいは再借り入れするまで収益性がないそうだ。Consumer Financial Protection Bureau調査からは、ペイデーローン利用者のほぼ4人に1人が9回以上再借り入れをしていることがわかっている。

文・アレン・琴子(英国在住フリーランスライター)/ZUU online

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