◆幸せは目の前にある
大崎さんの毎日は、決して派手でも特別でもありません。なるべく自炊して、おいしいものを適量いただく、お酒を嗜む、寝る前にストレッチをする、掃除はこまめに、引きこもらず、外に出る。普通の暮らしですが、ひとつひとつの行動やチャレンジをワクワクしながらこなす姿に、私達は胸を打たれるのだと思います。
「どうすれば高齢になっても幸せでいられますか?」。時折、大崎さんはこんな質問をされるそうです。「まず、外に出てみましょうよ」と、大崎さんはこたえます。ただ歩くだけでも、美しい花に出会えたり、近所にできた新しいお店を発見したり、身体だけではなく心にも動きが生まれるのです。「これからも楽しいことに挑戦しながら、喜愛(きあい)で心豊かな日々を過ごしていきたい」と大崎さん。私達も、まだ起こっていない未来を気に病むのではなく、大崎さんのように、目の前にある幸せに全力投球で取り組もうじゃありませんか。
<文/森美樹>
【森美樹】
1970年生まれ。少女小説を7冊刊行したのち休筆。2013年、「朝凪」(改題「まばたきがスイッチ」)で第12回「R-18文学賞」読者賞受賞。同作を含む『主婦病』(新潮社)、『母親病』(新潮社)、『神様たち』(光文社)を上梓。Twitter:@morimikixxx