じゃあそうやってみんなの事情を捨て置いて、2年間結ちゃんが何をしていたかといえば、男とメールをしていただけで、何も考えていなかったそうです。この期に及んで、進路について白紙なんだって。

 そんな結ちゃんをカッパは2年ぶりに海辺に呼び出して、「今年は甲子園に行く」と宣言。ハギャレンからはリサポン以外の3人が卒業していて、みんなそれぞれに夢に向かって歩いている。そんな感じで、次回へ。

2年飛ばしたのはいいんだけど

『おむすび』というドラマの何が気持ち悪いかって、誰も連続した時間を生きてないんです。映ってない間は存在していなくて、カメラが向いたら急に動き出す。高37月に結ちゃんが進路について白紙であるということは、マジでこの人2年間、カッパとのメール以外何も考えてなかったってことですからね。そういう人物を描いておいて、ドラマの主人公ですみなさん愛してくださいって提示されても、そう簡単に愛着も共感も持てないですよ。

 陽太も野球部だったよね? カッパと同じだけ予選を戦ったはずだし、県内だから予選で当たった可能性もあるよね? 結ちゃんは書道部にも復帰したんだよね? 書道の全国チャンピオンである風見先輩の存在は、結ちゃんに何か影響を与えなかったの? 恵美ちゃんも全国レベルだったよね? 友達なら、いろいろ話してきたんじゃないの?

 そして、これを言うのは反則だとも思うけど、平成16年から18年に飛んでるわけですよ。平成17320日、結ちゃんにとっては高1の終わりですね、福岡県西方沖地震が発生して、糸島は震度6弱という大きな揺れを記録していますよね。別にフィクションだから都合よく事実関係つまむこと自体はあり得ると思うけど、『おむすび』は実際の阪神・淡路大震災を大きなテーマとして、物語の根幹に置いているわけです。

 糸島の地震は、もし糸島に結ちゃんが暮らしていたとするなら、前を向いて歩きだした彼女にとって、震災の恐怖を思い起こさせるものだったはずなんです。