マンハッタンは東西に横切る地下鉄は少なく、東西移動は車頼みで、57thストリートも慢性的に渋滞している。このため「5番街の中の5番街」の交差点は、手の付けられないほどの渋滞となる。
ニューヨークはドライバーのマナーも悪く、その先が渋滞しているにもかかわらず、青信号だということで交差点に進入し、赤信号になって道路をふさいでしまう。これが繰り返されるため、南北も東西も、青信号になっても車が進めず、渋滞がさらに悪化する。
米国ではむやみにクラクションを鳴らすドライバーが多い。「おしゃれタウン」はいたるところから、いらだちのクラクションが鳴り響き、品のない雰囲気に包まれる。
品のなさに輪をかけているのは、トランプタワーに訪れるトランプ支持者の街宣車だ。選挙戦中から度々、頻繁に来ていたが、大統領選での勝利で威勢がよくなった。「TRUMP NOW」などと書かれた旗を何本も掲げ、音楽を流しながら行き交う。車体には「Fワード」と呼ばれる汚い言葉でバイデン大統領やハリス副大統領を中傷する文字が並んでいる。
中には、渋滞で止まっている最中にオープンカーから体を乗り出して演説を始める支持者もいる。千鳥足の酔っ払いはいないが、東京・新橋のSL広場と似た雰囲気になる。
歩道も混とんとしている。人とぶつからないように歩くのに神経を使わなければならない。フィフス・アベニューの両サイドの歩道は、それぞれ幅約7メートルだが、警備のための柵などが置かれているため、実際はもっと狭い。
1ブロックの歩行者数は1日平均で1時間5500人、休日では2万3000人にのぼる。車と歩行者、自転車などすべての交通量を合計すると、交通の70%は歩行者だという。
現在、5番街のルイ・ヴィトンはビルの外装を商品であるラグジュアリートランクのデザインにしている。巨大トランクの出現は、今年のホリデーシーズン限定の5番街の名所となり、多くの歩行者が交差点で写真を撮っている。