旧ジャニーズ事務所の性加害問題で、SMILE-UP.が被害補償の金額をめぐって、すでに解散した「当事者の会」の元副代表の石丸志門氏を提訴したことが今月5日に明らかになった。

 同社はさいたま簡易裁判所で被害補償額に関して石丸氏と調停を進めていた。

 10月3日の第3回調停で2000万円を提示。しかし、双方の主張が大きくかけ離れているとし、合意には至らなかった。結果、調停委員会は同社に調停の取り下げを検討するようにと指示したという。

 これを受けて同社は今月5日、石丸氏にメールで「調停案の提示がない状況で、石丸様のご希望金額を受け入れることは、被害者の皆様との公平等の観点から応じることはできませんので、調停委員会からの指示を踏まえ、本日、調停申立てを取り下げました」と通達。そのうえで、「裁判所に対して、金額確定のための訴訟を提起しました」とも伝えたという。

 そもそも同社は、10月31日に「現時点までの被害補償の状況とお願い」という告知を公式サイトで公開。被害補償の受付開始後、同日時点までに合計1002名から補償申告があり、返信がない申告者を除き、被害者救済委員会から補償内容を通知した538名のうち、524名が補償内容に同意し、うち511名に補償金を支払い済みと報告した。

 芸能ジャーナリストの竹下光氏はこう語る。

「SMILE-UP.に対しては、先日NHKで放送された特集番組『NHKスペシャル ジャニー喜多川 “アイドル帝国”の実像』での補償本部本部長による被害者家族との電話で発した『心の底からお詫びができない』などの発言が物議を醸しました。他方、先日に公式サイトに掲載された『被害補償の状況』を確認すると多くの被害者が補償内容を受け入れており、それなりに真摯な対応をしている部分も見受けられます。いずれにせよ、同社としては一刻も早くこの問題を解決したいというのが本音でしょう」

 こうした中、実際に補償業務に関しては収束に向かっていたかに見られたが、その道筋で石丸氏が立ちはだかることとなった。