誰だって、私よりUになりたいだろう。それぐらい、彼女は自分がどう在れば幸福なのかを知っていたし、それを努力によって着実に手に入れていた。そして、その幸福を邪魔するものは排除した。それだけなのである。
帰り道、Uと二人きりになって私はようやく「大変だったね」とねぎらいの言葉をかけた。Uは「だってさ~あのとき産んじゃったら赤ん坊のどっかに欠損があるかもしんないって言われたんだよ。そんなん、うちの旦那さんも可哀想じゃない?」と私がUの決断を快く思っていないことを踏まえ伴侶のためとしてくれた。
そして明日は保育園の説明会なんだ、と言って電車を降りた。私は座席に座り直し、夫に帰宅の連絡と明日のスケジュール確認のメールを入れた。私たち夫婦も明日は説明会。脚に障害を持つ夫の片脚切断手術について、一緒に病院に聞きに行く予定だったから。
<文/石田月美 構成/女子SPA!編集部>
【石田月美】
1983年生まれ、東京育ち。高校を中退して家出少女として暮らし、高卒認定資格を得て大学に入学するも、中退。2014年から「婚活道場!」という婚活セミナーを立ち上げ、精神科のデイケア施設でも講師を務めた。2020年、自身の婚活体験とhow toを綴った『ウツ婚!!死にたい私が生き延びるための婚活』で文筆デビュー、2023年に漫画化された