だから、その日の集まりも私は結構楽しみにしていたのだ。数年ぶりにUとその女友だちと数人で開かれた会に行くため、私は夫に数週間前から子どもたちを頼み、数日前から家族の好物だらけの夕飯を心がけ、朝早く起きて身支度を済ませ、意気揚々と出掛けていった。

◆久しぶりにあった友人の顔を見られなかった理由

妊婦
 久しぶりに会ったUはお腹を大きくしていた。私が第一声「おめでとう!」と言うと、Uは照れくさそうに「ありがとう」と言ってくれた。三々五々、誰かが集まるたびにUは「最近全然集まれなくてごめんね」と詫びていた。

 私はそんなに定期的に集まっていたのかと驚き、更に1年位集まりに顔を出さなかっただけで謝罪するUに改めて社交性の高さを感じ、やっぱりUはUだな、すごいな、なんて思っていた。そして顔を出さなかった理由を述べようとする彼女に、誰でも色々あるしたった1年なのに!と彼女の律儀さにも驚き尊敬していた。理由を聞くまでは。

 彼女は不妊治療をしており、あまり上手くいかない日々が続いていたが、ようやく授かった子が障害児だと羊水検査で分かった。それで中絶をしたが、自分は障害児しか授かれないのかと落ち込み、誰とも会う気分ではなかった。

 しかしこのたび、健常者であろう子を授かることが出来て、安定期にも入ったので、皆にその報告も兼ねて久々に集まったのだ。

 Uが上記の内容をたっぷり1時間以上かけて喋っている間、私は彼女の顔を見ることが出来なかった。自分でも大人気ないと思う。

 Uのような思想を持つ者が少なくないのは知っているし、だからこそ羊水検査というものが存在するのだし、Uは何も悪いことをしたわけじゃない。法律で保障されている権利を行使しただけだ。

 私も不妊治療経験者なのであのゴールの見えないつらさは知っている。それに障害児を育てるには大変な苦労と金銭が伴うことも、周りに障害児の母が多い私は理解しているつもりだ。