青空文庫のおすすめランキングTOP10!
青空文庫のおすすめランキング第10位:審判/フランツ・カフカ
チェコ出身のドイツ語作家であるフランツ・カフカが1914年から1915年までの間に執筆した言われる『審判』。この作品はフランツ・カフカの存命中には発表が叶わず、死後、マックス・ブロートの手にによって1925年に編集・公刊がなされました。
物語は、主人公・ヨーゼフ・Kが30歳の誕生日に突然現れた二人の男から自身が逮捕されていることを告げられ、理由の明かされないまま裁判を起こされ、様々な立ち回りも虚しく無残に処刑されてしまう姿を描いています。
青空文庫のおすすめランキング第9位:斜陽/太宰治
典型的な自己破滅型の私小説作家として人気の高い太宰治さんの『斜陽』。雑誌『新潮』の1947年7月号から10月号まで4回にわたって連載され、同年12月15日に新潮社より単行本として刊行されました。
当時すでに人気作家の仲間入りを果たしていた太宰治さんは、この作品で初版発行部数1万部、まもなく2版5,000部、さらに版を重ね、自身のベストセラーを記録しました。
戦後の昭和20年の日本を舞台に、当主であった父を失ったかず子とその母の暮らしを通して、上流階級の貴族の人々が没落していく姿を描いた物語です。
青空文庫のおすすめランキング第8位:破戒/島崎藤村
1906年に発表された島崎藤村さんの代表作『破戒』。
当時、詩人だった島崎藤村さんが小説家に転身して初めて書いた作品で、従来の小説家とは異なった視点で描かれた本作で島崎藤村さんは日本自然主義文学の先陣を切ったとされています。
物語はまだ身分や貧富による差別が横行していた時代の世相を反映し、被差別部落出身の小学校教師である主人公が周囲には秘密にしていたその出生に苦しみ、ついに告白するまでを描いた物語です。
かの文豪、夏目漱石さんはこの作品を指して「明治の小説としては後世に伝ふべき名篇也」という言葉を森田草平さん宛ての書簡に残しています。
青空文庫のおすすめランキング第7位:吾輩は猫である/夏目漱石
近代文学を代表する作家として日本の千円紙幣の肖像にもなった夏目漱石さんの名作『吾輩は猫である』。普段本を読まない人でもきっと、この題名だけは聞いたことあるのではないでしょうか。
「吾輩は猫である。名前はまだ無い。」の書き出しで始まるこの物語は、中学校の英語教師である珍野苦沙弥の家に飼われている猫を主人公のに、その「吾輩」の視点から珍野一家の日常風景や、そこに集う彼の友人や門下生たちの人間模様を描いたユニークな物語です。
ちなみにこの主人公「吾輩」のモデルは、夏目漱石さんが37歳のときに夏目家に迷い込んで住み着いた野良の黒猫であると言われています。
野良猫でありながら、夏目漱石さんはこの猫をたいそう可愛がり、猫が死んだ後には庭の桜の樹の下に墓を立て、この時の様子を『猫の墓』という随筆に残したほどでした。そんな裏側のエピソードも含めて読むとさらにこの作品が楽しめるかもしれません。
青空文庫のおすすめランキング第6位:変身/フランツ・カフカ
チェコ出身の作家、フランツ・カフカの代表作であり、実存主義文学の一つとして数えられる『変身』。多数の映画監督によって何度も映画化されており、世界的に人気の高い作品でもあります。
物語は主人公の男、グレーゴル・ザムザが、ある朝目覚めると突然巨大な虫になっており、男とその家族の顛末が描かれています。
同時代を生きたアルベール・カミュの「ペスト」とともに不条理文学の代表的な一作としても知られています。
青空文庫のおすすめランキング第5位:蟹工船/小林多喜二
文芸誌『戦旗』の5月号で1929年に発表された小林多喜二の『蟹工船』。プロレタリア文学の代表作として、世界的にも高評価を得ており、いくつかの言語に翻訳されて出版されています。
実際に北洋工船蟹漁に従事していた博愛丸をモデルに、蟹工船にて酷使される貧しい労働者達を鮮烈な筆致で描いた群像劇です。よって、物語を通して特定の主人公がいないこともこの作品の特徴として挙げられます。
当時、新聞紙法へ抵触したことによる発売頒布禁止処分などを乗り越え現代に残る名作です。
青空文庫のおすすめランキング第4位:細雪/谷崎潤一郎
当時、多数の作家たちにより文芸評論等で取り上げられた上、高く評価され、現代でも読書アンケートや名著選でも必ず近代文学の代表作として挙げられる『細雪』。
物語の時代背景は1936年秋から1941年春。大阪船場で古い暖簾を誇る蒔岡家の4人姉妹、鶴子・幸子・雪子・妙子の繰り広げる日常生活の悲喜こもごもを通して、第二次世界大戦前の崩壊寸前の上流階級の大阪人の生活を描いています。
この本を献上された昭和天皇が、普段は本を読まないにも関わらずこの本だけは読了したという逸話も残されています。
青空文庫のおすすめランキング第3位:源氏物語/紫式部
平安時代中期に成立した紫式部さんの生涯唯一の物語作品として知られる『源氏物語』。
主人公の光源氏を通して、当時の恋愛、栄光と没落、政治的欲望と権力闘争など、作者である紫式部さんにとっての平安時代の貴族社会の表と裏を描き出した物語です。
下級貴族出身だった紫式部さんが、夫の藤原宣孝さんとの死別をきっか絵に、その辛さを忘れるために物語を書き始めたと言われており、それを踏まえて読むとまた新たな視点が広がります。
青空文庫のおすすめランキング第2位:レ・ミゼラブル/ヴィクトル・ユゴー
フランス・ロマン主義の詩人であり小説家のヴィクトル・ユーゴーが1862年に執筆したフランス文学の大河小説『レ・ミゼラブル』。彼の代表作として、現代でも舞台や映画化もされ続けている不朽の名作です。
題名の意味は日本語で「哀れな人々」。1本のパンを盗んだ罪で、結果的に19年間もの監獄生活を送ることになったジャン・ヴァルジャンの生涯を描いた作品です。
物語の随所にはフランス革命やナポレオンの第一帝政時代と百日天下、七月革命とそれに因する六月暴動の記憶などが散りばめられ、フランスの歴史を把握するための文献としても重要な役割を果たしています。
青空文庫のおすすめランキング第1位:こころ/夏目漱石
そして映えある第一位は、1914年の4月から8月まで朝日新聞に掲載された『こころ』です。これまでに700万部以上を売り上げており、「日本で一番に売れている」として売り上げ部数的にも文句なしの首位獲得です。
物語は「先生と私」「両親と私」「先生と遺書」の三部構成からなり、主人公の「私」と先生の交流を軸に穏やかな筆致ながら鋭く人間の真実に迫る傑作です。