「入場に必要なQRコードを複数持っているファンが、それをあらかじめ複数のファンに売り、同時に入場するわけです。売り手のファンは座席が判明した紙チケットを一旦回収し、その中のいちばん良い席を自分用として抜く。さらに、その他のチケットを開演までの時間で転売したり、交換したりしたうえで、最終的に買い手のファンたちに分配する、というケースが横行している。つまり売り手のファンは、会場内でチケットを転売し、差額を利益にしたり、良席を掴んだりしているんです。こういった行為が行われているため、単純にリセールを導入しただけでは、問題は解決しないと思います」(20代/STARTO社所属グループのファン)

 ではチケット転売を根絶するには、どういった施策が必要なのか。エンタメウォッチャーの大塚ナギサ氏はこう話す。

「まず本人確認の徹底です。入場時だけでなく座席での本人確認も必要かもしれません。不正にチケットを入手したことが発覚した場合のペナルティーも重要です。一発で出禁やファンクラブ永久追放にするなどの厳しい処分があれば、転売を避ける人も増えるはずです」

 さらに、“良席”のメリットを下げていくという考え方もある。

「メインステージを中心とした構成だと、どうしてもメインステージ近くの席だけが“良席”となってしまう。しかし、ステージを複数設置するとともに花道を増やして、メンバーたちが会場内のいろいろな場所でパフォーマンスをする構成にすれば、結果的に良席が増えます。同時に、メインステージの最前列であっても必ずしも良席ではなくなってくる。

すでにSTARTO ENTERTAINMENTのアーティストに限らず、いろいろなアーティストが採用している方法ですが、こういった形で、より多くの座席が良席に近づいていくようなステージ構成や演出も大事だと思います。もちろん大きな会場の場合、スタンド後方の席などどうやっても良席にはなりえないわけですが、そういう席は価格を下げてもいい。結果的に“良席がすべて”とならないようなコンサートになれば、良席を高額で買うことが無意味になってくる。もちろん限界はありますが、“良席をなくす努力”は必要でしょう」(大塚氏)