割れた珠洲焼の断面の凹凸を生かしながら、漆錆、研ぎ、黒漆を塗っては乾かしてを繰り返した作品も。断面には金箔があしらわれ、見る角度により様々な表情を見せる。
あらゆる九谷焼の陶磁器片が融合された造形物は、どの破片も必要な存在で、支え合いながら絶妙なバランスを保っている。
Rediscover Projectについて
Rediscover Projectは、能登半島地震を機に立ち上がったプロジェクト「Stand with NOTO(Hope with NOTO)」が前身。Stand with NOTOでは、クラウドファンディングによって資金を調達し、能美市に輪島塗の職人の仮設工房を設置。また、九谷焼の陶磁器片をつなぐことで輪島塗の職人の仕事を創出し、国内外で展示・販売を行ってきた。
活動開始から半年、震災復興のフェーズを経て、リフレーミングの機会を提供することを目的としたRediscover Projectへと変容し、次のステージへと進む。
Rediscover Projectは、能登半島地震で破損した九谷焼や輪島塗、珠洲焼といった同じ石川県でありながら別々の工芸として成立していたもの、本来なら廃棄となる規格外や不完全とされるもの…あらゆるものを融合させ、新しい表現を追求する。
「Rediscover(リディスカバー)」とは「再発見」という意味。今回の出展に際し、「私たちの作品を通して、来館者の皆様が自身の思い出や感情を『再発見』する機会となれば幸いです。」とコメントを発表した。
金沢21世紀美術館、開館20周年記念展示
金沢21世紀美術館は、開館20周年を迎える今年、「新しいエコロジー」という年間テーマに呼応した「開館20周年記念 すべてのものとダンスを踊って ―共感のエコロジー」を開催する。
同展では、社会や精神までを含みうる、総合的なエコロジー理論の行く末を、アーティストの鋭敏な感性と観察を通じて作品として展示。また、同じビジョンを共有する科学者や哲学者などの研究者たちと協働し、専門的な内容を視覚化、可感化することで、感覚を通した学び(Sensory Learning)として伝える。