◆世界と大きくズレる「日本人の感覚」
なお、アメリカは法律によって年齢差別が禁止されており、日本よりも高齢に対する差別意識が低いです。
事実、アメリカの大統領であるバイデン大統領が78歳(4年の任期なので82歳まで大統領を続けることが分かっているわけです)にして当選したことを考えると、日本とアメリカの感覚に大きな差があることが分かるでしょう。
雇用についても同様で、日本は「若い人を採用しよう」とする考えが根強いです。
たしかに若い人のほうが、フットワークが軽くて、覚えも早そうだし、その後も長く働く余地があると思われがちですが、それはあくまでイメージに過ぎません。
本来はその人の能力や中身で判断すべきなのに、年齢だけで精査して、スキルのある人を無視してしまう。
今後、少子高齢化で労働力不足が叫ばれる日本において、大きな課題だと私は感じます。
<和田秀樹 構成/女子SPA!編集部>
【和田秀樹】
1960年、大阪府生まれ。立命館大学生命科学部特任教授。東京大学医学部卒業。精神科医。 東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェローを経て、現在、ルネクリニック東京院院長 。 高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたって高齢者医療の現場に携わっている。 ベストセラー『80歳の壁』(幻冬舎)、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)など著書多数。