強引に話を進める夫「あと30分で着くから!」

 裕美さんの声はだんだん元気がなくなっていきます。それでも、隆さんのなかでは「友人を呼ぶ」という選択肢以外ないため、強引に話を進めます。 「問題ないよ。あいつと俺の仲だし。それに、酒とかつまみなら途中で買って帰るから、お前は何もしなくて大丈夫」 「あなたはそれで良いかもしれないけど……」

 決して友達を連れてきてほしくないわけではなく、裕美さんにも心の準備や時間が必要なのです。ただ、それを今伝えるべきかどうかを裕美さんは考えていました。しかし、隆さんは裕美さんの次の言葉を待つまでもなく、 「じゃ、あと30分くらいで着くと思うから!」  と明るい声色で言うと、電話を切ってしまいました。 「ちょっと!」