そんなわけで、三つ子を生んだ母と父は彼女たちを一人娘・品子として育てることにした。三つ子の品子は屋敷の離れの奥の隠し部屋で育てられ、品子たちもその状況を自然と受け入れるしかなかった。両親が亡くなった後も、その風習だけが残ったのでした。

 口が3つで、品子。悲しい名前です。

 不慮の事故で品子のうちの1人が亡くなり、残された2人の品子は、その意味もわからないまま恩讐に囚われていくことになる。やがて1人がすべてを明らかにしようとして仲違いが起こり、また屋敷には血が流れることになる。

 品子と同じように、人に疎まれて育った鹿乃子には彼女たちのウソがわかりますが、わかったからといって、どうすればいいかはわかりません。ウソを暴けば、誰かが悪者になってしまう。思い悩む鹿乃子の脳裏に、左右馬の「正しいと思うことをしなさい」という言葉が浮かぶのでした。

 そうして品子が住む屋敷の謎は暴かれ、2人の品子はそれぞれの人生を歩みだすことができたのでした。というお話。今回もよくできてる。眼福。

■大ネタを持ってきたなという

 3話までで自己紹介と事件解決プロセスのテンプレートを披露しておいて、第4・5話でさっそく大ネタを持ってきたな、という印象です。劇場版があるかわからないけど、とっとけばいいのに、と思うくらいスケール感と悲哀に満ちたエピソードでした。

『嘘解きレトリック』はコミックの実写化として、かなり成功している部類に入ると思います。トリックやセリフはほぼ原作通りに引用しながら、原作の世界観を立体化している。でも、「だからこれが正しいコミックの実写化だ」とは言いたくないんですよねえ。大幅な改変をしないことこそ正義とされてしまうと、ドラマというメディアはすごく幅を狭めていくことになると思うし、それこそ前クールの『降り積もれ孤独な死よ』(日本テレビ系)なんかは、コミックを大幅に改変して半分くらいオリジナル要素だったけど、すごくおもしろかったもんね。