人のウソを見抜いてしまう特殊能力を持った少女・鹿乃子(松本穂香)と、優れた推理力がありながら仕事が全然ない探偵・左右馬(鈴鹿央士)の探偵コンビが昭和レトロな舞台で難事件に挑むドラマ『嘘解きレトリック』(フジテレビ系)も第5話。
その能力によって、幼いころから疎まれて育ってきた鹿乃子が天真爛漫な左右馬と行動を共にすることによって心を開いていく様子が繊細に描かれていたりして好印象なわけですが、何より「ウソが分かる」という探偵にとってチートとも思えた鹿乃子の能力が、謎解きにおいて決して全能ではなく、左右馬の推理力と互いに補完し合いながら事件を解決していく感じが大変心地よいミステリーとなっています。
第5話は、前回提示された「人形殺人事件」の解決編。今回も気持ちよく解決されました。振り返りましょう。
■あふれ出る金田一オマージュ
昭和初期の山村を舞台にした今回の事件。日本人形がたくさん出てきたり、川っぺりで女の人が死んでいたりと、いかにも横溝正史チックな風景が広がっています。「わかった!」と言って全然わかってないダメ刑事も出てきますし、金田一耕助シリーズへのオマージュが感じられます。
事件は、あるお屋敷で死んだはずの少女が人形と入れ替わっていたというもの。実際、死んだはずの少女は生きていますし、左右馬や鹿乃子と食卓を共にしたりしていましたので、謎は深まるばかり。
そこで左右馬はこの少女・品子(片岡凜)の一人称が2種類あることに思い当たります。「私」と言うこともあれば、「品子」と言うこともある。左右馬は品子が双子であることを疑いますが、品子は「双子ではない」と証言。その証言が本当であることは、鹿乃子の能力によって裏付けられています。
結論としては、品子は三つ子でした。かつて、双子や三つ子は災厄を呼ぶとされ、疎まれていた。当時としても珍しいことですから、一度の妊娠で多数の子を産む動物になぞらえて、双子や三つ子を生んだ母親は「畜生腹」なんて呼ばれていたそうですね。よく考えるよな、「畜生腹」なんて言葉。