ところで、リョウたち姉妹には恋愛体質のママ(坂井真紀)がいて、そのママが急に家に帰ってきました。ママはデイビッドという名前のパイロットと出会い、結婚することにしたと言います。ママにとってそれは5度目の結婚だそうです。デイビッドはお金持ちだそうですが、弟の心臓手術のために30万貸してほしいとママに頼んでいるそうです。
どう考えても国際ロマンス詐欺というやつですし、リョウたちもママを説得して一度はママも納得しますが、姉妹が寝ている間にリョウが消費者金融から借りてきた30万をくすねて姿を消してしまいます。「人に迷惑をかけてでも幸せになってほしい」それがママの残したリョウたちへのメッセージでした。
完全に“詰んだ”状態の3姉妹。メイちゃんも専門を辞める決意をしますが、リョウはこの恋愛体質のママをモデルに「自分の恋を自覚する瞬間」を描き、見事にプロットを通してギャラをゲットしてみせるのでした。
■「才能とは欠落である」とドラゴンは言った
村上龍は小説『ラッフルズホテル』の中で、才能とは過剰ではなく欠落であって、その欠落を埋める作業こそが表現であるというようなことを言っていました(うろ覚え)。このドラマでは、リョウという駆け出しの脚本家の才能がいかにして引き出され、具現化されていくかという過程が描かれていくようです。
今回は、リョウの欠落として「どうしようもないクソ母親」が出現し、それを具現化することで一歩前に進んでいる。その一方で、リョウ自身の欠落についてはまだ本人が自覚していないため、形になっていない。
その形になっていないリョウの欠落が、大平かなえとリツが結託していることで今後、徐々に引き出されていくという予感がある。
一方で、リョウにとってもっとも身近な存在であるメグ姉やメイも不穏な恋愛をしているようです。彼女たちもまた、リョウのモデルとして創作の餌食になっていくのかもしれません。「劇団、本谷有希子」の名作『腑抜け床、悲しみの愛を見せろ』の妹ちゃんみたいな雰囲気も出てきました。