創業100余年、伝統工芸・若狭塗をルーツとした若狭塗箸の製造・販売を行うマツ勘は、若狭塗の伝統技法を用いた新たなプロダクト「rankak(ランカク)」15,000円(直営店価格・税抜)をにローンチし、直営店「GOSHOEN」にて10月29日(火)、自社ECにて10月30日(水)より販売している。
「若狭塗」の模様の美しさを再発見
国内の塗箸生産7割のシェアを誇る福井県小浜市で、塗箸作りのルーツとなった伝統工芸「若狭塗」。江戸時代に若狭湾の「美しい海底の様子」を図案化したのが起源とされ、小浜藩の主産業として保護奨励されてきた。
松葉や貝、卵の殻などの自然の素材と、職人の巧みな技術の融合で生まれる美しい模様が最大の特徴で、江戸時代には調度品として、明治時代以降には特産品として流通していた。しかし、時代や生活スタイルの変化によって需要が減少し、若狭塗の技術を受け継ぐ職人はわずかに残るのみとなっている。
現在流通している塗箸は、若狭塗の技術や模様の美しさを活かした製品ばかりではないことに疑問を感じたマツ勘は、若狭塗に敬意を示した商品づくりがしたいと考えるようになった。そこで誕生した「rankak」は、若狭塗の1番の魅力である手仕事ならではの「模様」に焦点を置き、模様の美しさを再発見してもらうことを目指した商品だ。
伝統技法を職人とともに甦らせる
マツ勘には、創業時から代々保管されている若狭塗の塗模様帳があり、200種類を超える模様が記されている。しかし、現在流通している柄は産地内でも数種類のみで、ほとんどの模様は人々の目に触れることなく忘れ去られようとしていた。
そこで、「抜き模様」と呼ばれる伝統模様に着目し、漆の上に松葉などの自然素材を置いて卵殻で型取りし、何層にも塗り重ねた漆を丁寧に研ぎ出すことで、繊細で美しい模様を生み出している。