たしかに、芸人が実際に麻酔にかけられるシーンを映す番組は前代未聞だが、エンタメウォッチャーの大塚ナギサ氏は、このような反響はある程度、想定済みだったのではないかと指摘する。

「『水曜日のダウンタウン』では、VTRに出演する芸人や街頭インタビューを受けた一般人をナレーションで強めにイジるなど、“いかに面白く見せるか”という部分を意識しています。一方で、今回の『麻酔ダイイングメッセージ』については、そういった要素は比較的マイルド。また、VTRを見て感想を言いつつ番組を仕切るMC役は伊集院光さんですが、そのコメントもフラットで、起きている現象を冷静に分析するにとどめている。言うなれば、批判を覚悟していたからこそ、“過激だから面白い”といった安直な映像にならないように構成されていたように思います」

『麻酔ダイイングメッセージ』と同様の方向性は、『右寄り左寄りレース』にも見て取れる。この企画では、ウエストランドときしたかのがVTRに出演。気まずそうに街行く人に政治信条を聞いていく中で、芸人たちは次第に右寄りの人と左寄りの人の傾向を把握していく。スタジオではカズレーザーがこのVTRを見ながらコメントするのだが、実際の社会情勢の話や政治の歴史の話を絡めながら、『麻酔ダイイングメッセージ』の伊集院と同じく、冷静に分析する。

「『右寄り左寄りレース』は一般人の政治信条に踏み込んでいくわけではなく、あくまでもフラットに扱っている。ただレースをしていくうちに、一般の人々の属性による政治信条の傾向がほんのりと浮かび上がってくるのは、興味深いものでした。挑戦的でデリケートな企画ではありますが、“過激”というわけでもない。この企画が地上波で成立できない不条理さを訴えたいがために、『KILLAH KUTS』のエピソードとして配信されたのではないかとさえ感じました」(大塚氏・以下同)

 一方の『スポーツスタンガン』と『童貞人狼』は、お笑い要素にあふれた企画だ。『スポーツスタンガン』では、スタンガンを持って真剣に戦う芸人同士のリアクションが大爆発。『童貞人狼』では、馬鹿馬鹿しい下ネタが展開される。