しかしSNSが広く普及し、タレントだけでなく一般人も自分の魅力をアピールするようになったいま、“自分がかわいい”と主張することは決して悪いことではなくなり、“あざとい”という言葉もポジティブに受け止められるようになってきた。女子アナウォッチャーの丸山大次郎氏はこう話す。

「“あざとい”が完全悪ではない風潮になっていることで、きちんとプロデュースすれば“あざとい”が大きな武器になるんだと思います。また、“あざとい”ということは、相手に自分をよりよく見せるために努力しているということ。それをフックにして、メイクやファッション、ボディメイクなどの仕事につながりやすいというメリットもあるでしょう」

 また、あざといアナウンサーや元アナウンサーは、実際にバラエティ番組で重宝されるという側面もある。

「いまでも“アナウンサーは貞淑だ”というイメージは強いので、そこで“あざといキャラ”を発揮すれば、ギャップで印象に残りやすいし、共演者もそこに言及しやすい。また、“あざとい”キャラは“ずぼら”や“ぶっちゃけ”に比べてトークのネタになりやすくて、息が長いとも言えそうです。

“ずぼら”だったら年齢を重ねていくとみっともない感じになるし、“ぶっちゃけ”ならインパクトのあるネタを続けて出すのは難しいうえ、他人の悪口にもなるリスクがある。そういう意味では“あざとい”に関するエピソードは長持ちしやすいはずですし、特徴的なフレーズや仕草を入れる形などで、演出としても見せやすい。他者を批判して大炎上するようなこともほとんどない。“あざとい”キャラは、メディア向きなのでしょう」(丸山氏)

 あざとい女性アナというと、どうしても“男性ウケ”を狙ったものだと見られがちだが、実際には男性だけでなく女性からも支持されるようになっている。

「田中みな実さんの場合、“あざとさを見せても恋愛や結婚につながらない”という自虐ネタも絡めていて、それが免罪符みたいになっている、だからこそ、女性から反感を受けにくいというのはあります。また、あざとさをキープするためのストイックなセルフプロデュースの努力があることで、近い年齢や社会経験が豊富な世代の女性からの共感を得ている面もあります。