さらに新聞が置かれ、郵便や株式取引、保険などの役割を果たす場にもなっていたそうで、そこには必ずコーヒーがありました。

 またイギリスの紅茶文化の国だと思われがちですが、紅茶の喫茶習慣がはじまったのはコーヒーハウスより後の1662年から。つまり、イギリスにおいてはコーヒーと紅茶は共に古い歴史がある飲み物なのです。

◆②イギリスには「COSTA(コスタ)」がある

ロンドン市内で圧倒的な存在感を誇るコスタコーヒー
ロンドン市内で圧倒的な存在感を誇るコスタコーヒー。店舗数はスタバの約2倍
 それでは現代のイギリスにおいてはコーヒーショップがどのような状況になっているのか? という話に移りましょう。

 スタバがアメリカ・シアトルで創業したのは1971年。実は同じ年にイギリスで創業したのが、「Costa Coffee(コスタコーヒー)」でした。創業者のブルーノ・コスタとセルジオ・コスタの兄弟がコーヒーの焙煎所からスタートし、1978年にはロンドンのヴォクソール・ブリッジ・ロードに初店舗をオープン。

 その後、身近なコーヒーショップとして業界1位に君臨しています。つまりスタバとしては先駆者がすでにいる状況で、現在店舗数においてもコスタが2467店舗(2018年9月)、スタバが1266店舗(2023年10月)と圧倒的な大差をつけてリードしています。

 またイギリスでは日本のようなアイスコーヒーやフラペチーノが主流ではなく、ホットドリンクとして味わう習慣が浸透している(アイスコーヒーを飲む人ももちろん少しずつ増えているようですが)ため、後から参戦したスタバは強みを発揮しにくい環境とも考えられます。

 またロンドンにおいてグッズコーナーを見ていくと、日本やパリよりもバリエーションは少なく、保温・保冷機能のないタンブラーが主流になっており、グッズを手にする人はほとんど見かけませんでした。

ロンドンでは多くの店舗を回りましたが、グッズがもっとも充実していた店舗でも日本には及ばず
ロンドンでは多くの店舗を回りましたが、グッズがもっとも充実していた店舗でも日本には及ばず。保温・保冷機能のないタンブラーが多く並んでいました