◆内村のコメントはなぜ神がかったのか?
神がかりコメントは続く。スタジオから続けて「選手たちには、おめでとうという声掛けなのか、ありがとうという気持ちなのか、どっちが強いですか」とコメントを求められる。少し間を置いた内村は、「お腹いっぱいです」とカメラ目線で言葉にした。「おめでとうも、ありがとうも、ありきたり過ぎる」のだと、元世界王者にしか引っ張り出せない表現力。
SNS上では打って変わり、「独特過ぎて面白い」などの高評価が散見され、スタジオからもいつも淡々としている内村だが、このときばかりは笑顔を見られて嬉しいといった祝福コメントがかぶさる。
確かに独特な表現とはいえ、内村のコメントはなぜこうも神がかったのか?きっと彼の瞳の奥では、2016年のリオデジャネイロ大会を追想していたんじゃないかな。2012年のロンドン大会から2大会連続で個人総合金メダルを獲得したあの大会もまた、パリ大会の団体決勝同様に奇跡の大逆転勝利だったからだ。