◆引退撤回を煽るアナウンサー
NHKで放送されているパリオリンピック現地中継では、アナウンサーとともに体操元日本代表選手・内村航平が、アスリートナビゲーターとして、さまざまな競技の前後に登場する。
「これまで選手として4大会出場してきましたが、初めて違った立場で関わる」と就任時にコメントを発表しているように、現役オリンピック選手ではない内村をオリンピック番組で見るというのは何とも新鮮な気がする。前回の夏季オリンピック東京大会では日本代表選手だったためか、ナビゲートする立場というよりは現役の代表選手感がとても強い。
隣にいるアナウンサーからいろいろコメントを求められると、遠からぬ現役時代の感覚を呼び覚ましたかのように、自分もまたもう一度選手としてオリンピックの興奮を味わいたいという趣旨のコメントを何度も繰り返す。リポーターとしてはどこか言葉少ない印象がある。
そんな内村にアナウンサーが、「現役引退撤回か?」みたいに煽るのも歴戦の元日本代表に対する敬愛のいじりなのだと理解すべきなのか……。いやいや引退撤回とは言ってませんよとクールにはにかむ内村は、さすがのかわし方だなと思った。肝心の競技自体より内村特有のニヤニヤした表情を見ているほうが筆者はむしろ楽しくて仕方がないのだけれど。