今年度のプロ野球ドラフト会議で、並み居る1位候補の選手より注目度が高かったのが、清原和博の長男の清原正吾(慶応大学)だ。正吾は中学でバレーボール部、高校でアメフト部と、6年間野球から離れたものの、大学で父の背中を追う道を選び、今春のリーグ戦ではベストナインに。ドラフトでは指名されなかったものの、独立リーグやファームに参加するチームからラブコールが殺到し、指名漏れから一転、争奪戦となっている。

「6年間のブランクがありながら、名門・慶応で4年時には4番を打つなど、運動能力やセンスは抜群ですが、6大学での通算成績は打率.226で2本塁打。伸びしろを買って下位や育成で指名されるかと思いましたが、プロの評価は冷徹でしたね。しかし独立リーグの球団には“清原ジュニア”の名は非常に魅力的。せいぜい200万~300万円の投資でスポーツ紙やスポーツニュースが取り上げてくれるのなら、こんなに安い買い物はありません」(スポーツ担当記者)

“捨てる神あれば拾う神”とはまさにこのことか。しかし、アスリートのキャリアとして考えるなら、独立リーグがベストかどうかは微妙だ。

「野球経験が足りない清原は、とにかく場数を踏むことが大事。その意味では試合数が多いファームリーグがベストですが、2軍とはいえ相手はプロです。あまりに打てないようだと、試合に出られるかどうかさえ怪しくなります。一方、独立リーグはあまりに環境が過酷で、慶応育ちの彼にはミスマッチ。バイトをしながら野球にかけるチームメイトたちとは立場が違いすぎます。その点、社会人野球の名門なら露骨な“人寄せパンダ”にはならないでしょうし、慶応ルート、和博ルートでいくらでもコネクションはある。慶応野球部の堀井哲也監督は長らくJR東日本の監督でしたし、ENEOSで都市対抗を何度も制した大久保秀昭前監督も慶応卒。和博のPLの先輩・西田真二が監督を務めるセガサミーという手もあります」(同前)