「澄人は親友を亡くして悲しむ梓に寄り添うだけではなく、しっかりと自分の言葉を伝える。そういうところがすごく好きです」と中村さんは続ける。
「誰かを慰めるのって難しいですよね。触れないという慰め方もあると思うのですが、澄人はあえて梓の悲しみに踏み込んであげる。なかなかできないことだと思います。その上で共感したり、自分の言葉を伝える澄人のやり方は、とても良いなと思いました。僕はどうしても顔色を伺って“こう言った方がいいかな?”とかを考えてしまうので、澄人のように僕はこう思うと自分の意見を伝えられる人に憧れますし、何も考えずに人に優しくできる人になりたいです」
ご自身が落ち込んだときの解決法を伺うと。
「僕は時間で解決させるしかないかなという感じです。特に何かで発散するとかではなく、ただ時間が流れるのを待つ。あとは自分のこれまでのことを思い出します。これまでもいろんなことがあったけれど、今が番楽しく過ごせていると思うんです。なので、きっと今起きている悲しいこともすべてがマイナスではないのかなって、前向きな気持ちになれるんです」
返事が来ることはないとわかりながらも亡き親友にメッセージを送り続ける梓。ストーリーは彼女を中心に思いがけない出会いと優しさが連鎖しながら進んでいく。
「僕は“自分なんて”と思いがちなタイプなのですが、この作品に出会って“もしかしたら僕も誰かのためになっていることがあるのかも”と思うことができました。そしてもちろん自分も誰かのおかげでこうしていられるということを改めて実感しました。周りに溢れている些細な優しさは見落としがちですし、つい当たり前のように感じてしまうからこそ、感謝することを忘れてはいけないなと」
「あと、人に迷惑をかけてもいいんじゃないかな」と中村さん。