働き方の多様化の流れによりダブルワーク(副業)が認められるようになってきました。それでは、副業をしている人は年末調整でどのような手続きを踏まなければならないのでしょうか?今回は、ダブルワークの年末調整と確定申告について解説いたします。
働き方の多様化の流れにより、ダブルワーク(副業)が認められるようになってきた
一昔前までは、1つの会社で定年まで働くのが当たり前とされていました。会社の就業規則で禁止されていたり、同僚や上司の目が厳しかったりなどの理由で、なかなかダブルワークを始められないという人が少なくありませんでした。
しかし近年は、政府が「働き方改革」を掲げたことで、民間企業の中で多様な働き方を認める動きが加速しています。
2020年にマイナビが中途採用業務を実施した企業の人事担当者1,910名を対象に行ったアンケートによると、全体のうち49.6%の企業が副業・兼業(ダブルワーク)を認めていることが判明しました。
また、「現在一部認められているが、将来的には拡充する予定」が22.4%、「現在認められており、将来的にも拡充する予定」が19.4%、「現在は認められていないが、将来的には認める予定」と答えた企業は15.2%となっています。
多くの企業がダブルワークを実施し、まだのところでも今後認める方向でいることがわかります。こうした背景には、「社員の収入を補填するため」や「社員のモチベーションを上げるため」、「社員にスキルアップしてもらうため」といった理由が多いとのことです。
このように、従業員の副業は会社にとっても少なからずメリットがあるわけです。社員と会社双方の利害が一致する世の中になったからこそ、ダブルワークを認める動きが加速していると言えるでしょう。
副業で得た収入は、年末調整ではなく確定申告が必要
1つの会社で働く場合は、年末調整のみを行えば問題ありません。一方で副業(ダブルワーク)を行う人は、基本的に本業の年末調整とは別に確定申告をすることになります。なお年末調整は、収入が多い企業のほうで行うのが一般的と言われています。
本業の収入は年末調整を行う
年末調整とは、毎月の給与・賞与から天引きされている源泉徴収の税額と、本来支払うべき税額を比較して、その過不足分を精算する手続きです。
年末調整が必要なのは、源泉徴収の金額と本来支払うべき税額が一致しない可能性が高いためです。源泉徴収の金額は、おもに以下の理由で支払うべき税額と一致しなくなります。
- 生命保険料などの各種控除を考慮する必要があるから
- 年度途中で給与額は変動し得るから(源泉徴収は毎月給与額が一定と仮定した上で行われる)
- 年度途中で控除対象となる扶養親族の数が変動する可能性があるから
以上から分かるとおり、ほとんどの人にとって年末調整は不可欠の手続きです。実際には、11月から12月頃に「扶養控除等申告書」や「保険料控除申告書」といった年末調整書類が会社から交付されます。この書類に所定事項を書き込み、提出することで手続きを実施します。