学校を卒業し企業に就職すると、制度的には両親などの扶養家族から外れます。労働の対価として給料をもらう以上、自分自身のライフプランを構築しなくてはなりません。所得税や住民税、社会保険などの内容を理解し、収入として得られる給料をどのように生かして人生設計を構築して行けばいいのでしょうか。今回は、税金や資産運用など、お金の基本について解説します。

税金と社会保障制度

私たちが支払う税金には、所得税、消費税、住民税など、たくさんの種類がありますが、企業に就職し給料を得るようになった場合、必ず負担しなければならないのは所得税です。新社会人2年目からは、自身の住民税も負担することになります。

また給与所得者となれば、社会保険に加入しなければなりません。まずは、これらの種類を見ていきましょう。

所得税とは

所得税とは、個人の所得(収入)に対してかかる税金で、1年間の全ての所得(収入)から一定の所得控除額を差し引いた残りの所得に、所得税率を適用して所得税額を計算します。個人の所得に対して課税される税金です。

給与所得者にかかる所得税は“源泉所得税”として毎月の給料から差し引かれることになりますが、年末に年末調整として1年間の正しい税額が再計算されます。

健康保険とは

両親などの扶養家族から外れる場合、自分自身で健康保険に加入しなければなりません。その負担する保険料は、標準報酬月額という一定の計算により算出され、会社と従業員との折半となっており、1/2は会社が負担することになっています。

また健康保険では40歳から64歳までは介護保険料も併せて負担する義務があります。病気やケガなどにより、医療機関を利用した場合の個人負担額は一律3割を負担することになっています。

厚生年金保険とは

一般的には公的年金制度として理解されています。会社員が加入する年金制度であり、大きく分けて3種類に分類されます。納付する保険料は社会保険料と同様、標準報酬月額により算定され、会社との折半となり1/2の負担となります。

  • 老齢年金
    定年退職後(現行65歳以後)に受給する終身年金で、老齢基礎年金と老齢厚生年金があります。

  • 障害年金
    病気やケガにより障害が残った場合に受給する年金で、障害基礎年金と障害厚生年金があります。

  • 遺族年金
    残された遺族がもらえる年金で、遺族(寡婦)基礎年金と遺族厚生年金があります。

住民税とは

居住している都道府県と市町村に納付する地方税です。収入額(所得)により計算される「所得割」と一律に課税される「均等割」があります。住民税の税率は都道府県民税が4%で市町村税が6%となっています。均等割り額は、標準税率として5,000円と決められていますが、地方自治体により異なることもあります。

住民税は、前年の所得に対して課税されることから、新社会人の住民税負担は入社2年目の6月から一般的には給与天引きとなります。

人生の3大資金について

社会人として独立し、自分自身の人生を考えたときに、人それぞれの生き方があります。どのような人生を歩むかは人によって異なりますが、さまざまなライフイベントの中でもとくにお金のかかる「人生の3大資金」をチェックしてみましょう。

教育資金

結婚や子育ては家庭によってさまざまな選択肢があるので、すべての人が教育にかかる資金をチェックする必要はありませんが、一般的な教育資金の現状を確認しておきましょう。

子ども1人あたりの教育資金の総額は約1,000万円といわれています。幼稚園から高校まで公立校で、大学のみ私立の文系大学という設定ですが、私立の高校や理系の私立大学となるとこれ以上の資金が必要です。

住宅購入資金

住宅を購入する・しない、という選択も、双方(分譲・賃貸)のメリット・デメリットがありますので、それぞれ意見は異なるところです。自分自身や家族のライフスタイルによってもさまざまです。ここでは、一般的な住宅を購入するための資金額を確認してみます。

現在の住宅事情は価格が高騰しており、マンションの平均購入価格は4,350万円、建売住宅の平均購入価格は3,340万円となっています(住宅金融支援機構「2017年度フラット35利用調査」より)。

老後の生活資金

老後の生活資金として、寄るべきものは公的年金と考えられますが、年金不安や世間を賑わせた老後2,000万円問題などもあり、心配なところです。総務省等の統計では、高齢夫婦(無職世帯)の平均的な毎月の支出は約26万円とされており、ゆとりのある生活では約35万円とされています。

このように人生における3大資金を集計してみると、教育資金(子ども2人)で約2,000万円、住宅購入資金(建売とマンションの平均)で約3,800万円、老後資金(月30万円とした場合に年360万円)が65歳から20年間として7,200万円。人生の3大資金だけで、総額1億3,000万円ほどかかりそうです。