八重樫と粟生は、ともに00年代から10年代の日本ボクシング界を盛り上げた世界チャンピオンである。八重樫はミニマム級、ライトフライ級、フライ級の3階級で世界王座を獲得しており、ローマン・ゴンサレスや井岡一翔と熱戦を繰り広げたことでも知られる“激闘王”。一方の粟生も史上初のアマ高校6冠を達成してプロ入りし、フェザー級とスーパーフェザー級の2階級を制している。八重樫が粟生の2学年上。アマ時代から全国大会で顔を合わせていた仲だという。

 粟生は先日の武居のタイトルマッチについて感想を求められると、「前半で仕留める予定だったんだろうな、それがズルズルいっちゃって、後半は見栄えが良くなかった」と率直な意見。戦前の自身の予想は「全然、五分五分でした。なんなら厳しいんじゃないか」と思っていたという。

 その後も、キック出身の選手を育成するトレーナー同士の高度な技術論など、聞きごたえのあるトークが続く。

 那須川と武居が対戦したら「どっちが勝つと思いますか?」という質問には、粟生が「お互い勝たせなきゃいけない立場だから」と言葉を選ぶと、八重樫も「逆におもしろいですね」と、にわかに緊張感が生まれ、その後も現時点での対策や2人の選手の伸びしろを考慮した分析でファンを楽しませた。

 いずれにしろ、2人のトレーナーは武居と那須川の対戦に前向きだった。那須川の世界挑戦は来年末あたりに設定されるとみられており、それまで武居がタイトルを防衛していれば実現の運びとなりそうだ。