これ以外にも、2022年にはNHKが発注した高野山にあるテレビ中継放送所の更新工事で約200メートルにわたって土のうが敷き詰められ、世界遺産「紀伊山地の霊場と参詣道」の構成資産のひとつである国史跡「高野参詣道 女人道」の階段や路肩の一部が破損。国史跡での土のう設置は、文化財保護法で禁じられている現状変更にあたるが、NHK側は許可を得ていなかった。
さらに2002年末には、恒例の年越し番組『ゆく年くる年』の中継用の照明器具を設置するため、NHKの委託業者が東大寺の鐘楼(国宝)の梁に釘9本を打ち込んだことが発覚。注意を受けて釘はすぐに抜き取られたが、東大寺側は「行きすぎた行動で非常に残念。認識が甘いと言わざるを得ない」と異例の厳しいコメントを発表した。
こうした背景もあり、ネット上では「こんな失敗が繰り返されるなんて、NHKは文化財に対する敬意を持ち合わせていないのでは」「撮影担当者に花道から転落するような撮影をさせていたことも問題」「自動車メーカーの認証不正問題をとやかく言えるような立場じゃないね」などと厳しいコメントが飛び交っている。
一部では「テレビマンの特権意識で文化財への配慮が二の次になっているのではないか」との意見もあるが、近年のNHKでは局員による不祥事が多発していることもあり、今後もし同じようなことが繰り返されれば国民からの信頼を大きく失ってしまいそうだ。