《こうした背景には何があったのか? NHKの職員やOBたち40人を取材。問題意識の低さや、タレントの起用についての証言はあったが、背景を明確に語れる人はいなかった》
もっともその一方で、番組内ではある一人の人物に焦点が当てられた。
それは、元NHKの職員の若泉久朗氏だ。
若泉氏は15年から17年にNHKの制作局長、20年から22年に理事を歴任。その後、旧ジャニーズ、現在は旧ジャニーズからマネジメント業務を引き継いだSTARTO ENTERTAINMENTで顧問を務めている。
番組では、かつてNHKの経営の中枢にいて、旧ジャニーズ事務所との関係が深い人物としてNHKの職員やOBたちから若泉氏の名前が挙がったことを報告し、1年前から若泉氏に取材を申し込むも直接話を聞くことができなかったと説明した上で、9月上旬に番組スタッフが若泉氏を直撃するVTRを放送。
若泉氏は直撃取材に対し、「なんで僕なんですか? しかも仲間じゃないですか」と困惑し、番組スタッフが「だったら、おわかりいただけるんじゃないかなと。当然、検証する義務がある。そこに所属していた、その時のことをご存じの方に(話を)していただかないと」と食い下がるも話は聞けず…。
結局若泉氏は、STARTO社を通じて、《幅広い世代層を獲得するために、旧ジャニーズ事務所は重要なパートナーの一つで、NHKが支持される重要な役割を担ってもらいました》などとコメントした。
「確かに、旧ジャニーズ事務所に“天下り”した若泉氏なら、当時のNHKと同事務所との深い繋がりを熟知しているのは間違いないでしょう。若泉氏が口にした『仲間じゃないですか』という発言に違和感を抱いた視聴者も多かったのではないでしょうか。とはいえ、今回の番組を見ていると、NHKが関わった旧ジャニーズ事務所の“闇”の部分については若泉氏一人に泥を被せようとしていると見る向きもあり、きちんとした検証ができているかというとはなはだ疑問ですよね」(前出の民放キー局の報道部記者)