生まれも育ちも神戸だというおばちゃんは、遠くからおむすびを持ってきてくれたようです。家を出たときはほかほかだったけれど、避難所までの道はめちゃくちゃに壊れていて、時間がかかってしまった。そう語りながら、おばちゃんは涙を流すのでした。
この『おむすび』というドラマは、阪神淡路大震災の際に震源地から少し離れた兵庫県・丹波地域に住む女性たちがおむすびを握って被災地に届けたという話から着想を得たとされています。丹波から神戸までは70~80km、ずいぶん遠くから届けに来てくれたことになります。
そんなわけで、冷たいおむすびをアユと分け合った結ちゃんが神妙な顔でもぐもぐしながら、次回へ。
■今週はすごく重要ですねえ
『おむすび』では、スタートから3週にわたって結ちゃんという女の子が何事にも積極的になれず、不満ばかりを口にし、流されるままに生きている無気力無感動人間として描いてきました。
結ちゃんがそんなふうになった原因を描くのが、今週からの震災編ということになります。6歳の子どもにトラウマを植え付けるという作業が行われるわけです。先週のアユへの激昂とその後の慟哭を見るに、ものすごくつらいことがあったに違いありません。
それは現実の震災をモチーフにしているわけですから相当にリアルでなければならないし、朝ドラですから残酷さや悲惨さもいい具合に収めなければならない。それでいて、結ちゃんから長期間にわたって笑顔を奪ってしまうくらいの事態を引き起こさなければならない。どんな演出を見せてくれるのか、楽しみにしたいと思います。
あと今さらだけど、B’zの主題歌、やっぱ合ってないよなぁと思うんです。そりゃ稲葉浩志氏が津山の生んだスーパーウルトラソウルシンガーであることに異存はないし、NHKの朝ドラの主題歌にはいろんなしがらみがあることも理解していますけれども、それにしてもねえ。
普通のドラマだったら当たり前にやってる「ハイライトに主題歌を流す」という演出ができないんですよね。前回のようにパラショーで超盛り上がったシーンにも、今回のように震災が襲ったシーンにも、この主題歌は全然似合わない。全然似合わないのに、毎回長々と聞かされるわけです。アバンと本編の間にこの歌が挟まることで、なんかリセットされるんだよな。今さらどうしようもない話だけれど。
(文=どらまっ子AKIちゃん)