NHK朝の連続テレビ小説『おむすび』も第21回。先週の第4週「うちとお姉ちゃん」では、東京から突然、姉のアユ(仲里依紗)が帰ってきたことで結ちゃん(橋本環奈)とお姉ちゃんの確執の原因がちょっとだけ明らかになりましたが、糸島フェスティバルでのパラパラショーを無事に終えてなんとか大団円。

 今週は「あの日のこと」というサブタイトルで、いよいよ結ちゃんが6歳のときに遭遇したという阪神・淡路大震災についてのお話になりそうです。

 ハピハピだったパラショーの次の回で震災当日の様子を描くダイナミックな展開。振り返りましょう。

■描かれた「着想」のシーン

 前回、パラパラショー直後に憧れの書道部・風見先輩(松本怜生)に、ギャルとは正反対の清楚系彼女がいることが発覚し、海を見つめるしかなかった結ちゃん。そこに現れた野球カッパ(佐野勇斗)に、いきなり震災の深い話を始めるところからスタート。シーンは震災前日の神戸へとジャンプします。

 神戸の商店街で床屋さんを営んでいた結ちゃんパパ(北村有起哉)。商店街にアーケードを設置するかどうかの意見の取りまとめもなんとか済んで、平和な日々が当たり前に過ぎていくと思われていた1月17日、早朝5時46分でしたね、大きな揺れが神戸の街を襲います。

 震災そのものの描写は、結ちゃんとアユが寝ていた部屋のみでした。NHKには当然、資料映像がたくさんあるはずですし、倒れた阪神高速や、めくれ上がったアスファルトの映像を挟み込むこともできたでしょうけれども、あくまで結ちゃんが見たもの、感じたものだけを描くということなのでしょう。

 避難所となった小学校に移動した結ちゃん一家、身を寄せ合って寒さに耐えていると、おむすびの差し入れを携えたおばちゃんたちが現れます。結ちゃんのみならずとも空腹を抱えた被災者たちに配られたおむすびは2人でひとつ。その冷え切ったおむすびに、幼少期の結ちゃん(磯村アメリ)は思わず「おばちゃん、チンして」と言ってしまうのでした。