「堀口珈琲 狛江店」が、日本空間デザイン賞2024「サステナブル空間賞」で評価されたポイントは2つ。
1つ目は、抽出かすを塗材へ再利用している点。喫茶では抽出後のコーヒー豆が日々廃棄される。それらをそのまま廃棄するのではなく、約20kg分を乾燥させ、カウンター全周の塗材に混ぜ込み、仕上げとして施している。
2つ目は、東大発ベンチャーfabulaと共同で開発したコーヒータイル。熱圧縮成型という技術で、規格外となったコーヒー豆の色や香りが残ったまま強固な新素材を生み出した。廃棄食材の新たな利用法を模索するなかで生まれたこのタイルは、ほんのりコーヒーの香りがするトイレのサインボードとして使用されている。
多数の受賞歴を持つ高塚章夫氏
アアト一級建築士事務所の高塚章夫氏は、京都大学工学部建築学科、パリ建築大学ラ・ヴィレット校(フランス)で学んだのち、伊東豊雄建築設計事務所を経て、2010年高塚章夫建築設計事務所として独立。主な仕事に堀口珈琲「横浜ロースタリー」「Otemachi One店」、凸版印刷ショールーム「Aurora」、中里太郎右衛門陶房「御茶盌窯記念館」、住宅作品「架構と庭」「二心柱の家」などがある。グッドデザイン賞など多数の受賞歴を持つ。
高塚氏は、「カウンター全周の塗材は経年変化によって塗膜が剥がれ、徐々にコーヒー豆が露出していきます。その肌触りや色合いの変化は、スタッフとお客様とのコミュニケーションの痕跡として刻まれていきます。コーヒータイルをはじめ、土壁やリノリウム・真鍮など、狛江店で使った特徴的な素材に共通するのは、自然由来であり、そのもの自体の色彩が豊かで、時間と共に表情を変える物性を持つこと。こうして色や形・質感・香りが移ろいながら空間体験ができることを目指しました」とコメントしている。
「堀口珈琲 狛江店」に足を運んだ際は、サステナブルな内装にも注目してみて。