もし実現すれば、音楽を通じて日韓の友好関係を深める大型企画になりそうだが、何とも壮大な話だけに両国の関係各所への調整が難航する可能性も。芸能ジャーナリストの竹下光氏はこう話す。
「NHKとKBSとがコラボする歌番組の構想については耳にしたことはありませんが、『韓日歌王戦』は日本でも『日韓歌王戦』としてABEMAなどで放送され、若い視聴者層を中心にかなり話題になりましたからね。『紅白』の関係者がチェックしていたとしても不思議ではないですよね。『東方神起』や『BIGBANG』、『KARA』、『少女時代』などが人気を集めた2000年代以降、日本では相変わらずK-POPブームが続いていて、『紅白』にも多数の韓国アーティストが出場しています。NHKサイドとしては『紅白』においてアイドルやアニソン歌手などと同様、若い視聴者層の獲得、ひいては将来的な受信料確保という観点で魅力的なコンテンツとして映っているのではないでしょうか」
そのうえで、昨今の韓国における日本歌謡曲ブームの背景について言及する。
「韓国でも1990年代から日本のドラマやアニメ、音楽などに興味を持つ人も多くいましたが、過去の歴史問題もあり、韓国のテレビ放送において日本語の歌詞を放送することや日本の番組を放送することが禁止されるなど、日本の大衆文化の流入制限がなされていました。それが98年から04年にかけて合計4度にわたる文化開放措置によって徐々に規制が緩和され、近年はほぼ開放されたことで、日本の歌謡曲やJ-POPがより身近な存在となり、若い世代を中心に高い評価を受けているのでしょう。加えて、『BTS』の生みの親で『HYBE』の創業者で音楽プロデューサーのパン・シヒョクさんが明菜さんのファンであることを公言するなど、元々韓国の音楽業界には80年代や90年代の邦楽に影響を受けた人も多い。昨年9月には『BTS』のメンバーのVさんが自身のインスタライブのストーリーで明菜さんの『OH NO,OH YES!』を映像のBGMに採用したことが話題となりましたが、同曲は元はジョングクさんのお気に入りということで、『BTS』のファンの間ではシヒョクさんの影響が取り沙汰されました。こうした流れも、ブームの後押しになっているのでしょう」