◆区市村長が小池氏に出馬要請をする不気味さ

2024年5月22日「令和6年度第1回東京くらし方会議」に出席する小池都知事
2024年5月22日「令和6年度第1回東京くらし方会議」に出席する小池都知事※東京都ウェブサイト「知事の部屋」より
 都内に62人いる区市村長のうち、52人の有志が参加して、連名で小池都知事に出馬要請をしたことも話題です。

 これらの区市村長たちは、それぞれの自治体の長として選挙で選ばれています。各自治体の有権者は都知事選の有権者でもあるわけですから、代理人が勝手に出馬要請を行うことには違和感があります。民主社会における選挙は、主権者の代理人を選んでいるだけです。都知事に誰がふさわしいかは、有権者が判断すれば良いことです。

 誰がこの出馬要請に加わったのかは記事に出ていますので、ぜひ見てもらって、誰が有権者を軽視しているか、誰が民主社会の構造を理解しているかを確認するのも良いと思います。

 この出馬要請に関しては、新宿区の吉住健一区長が呼びかけて取りまとめていったということです。一方で世田谷区の保坂展人区長は「誰が政策を争うかも見えてない時に、名を連ねるわけにはいかない」と、有志に加わらない意思を表明しています。

 有志に名を連ねた日野市の大坪冬彦市長は「当初は応援の依頼だった」と発言していることからも、知事からの要請があったのではないかという声も出ています。公明党、都民ファーストの会からの出馬要請も同日に行われ、メディアも入れた儀式的な場が作られていたので、知事側が用意周到に準備してたのでは、と考えてしまいます。

 これと似たような風習としては、自民党元幹事長の二階俊博さんの三男・二階伸康さんの次期衆院選の新和歌山2区からの立候補をめぐり、和歌山県内の全21町村でつくる県町村会が出馬要請をするというニュースが先日もありました。なんだか自民党と似たようなことをやっているんだなとは感じました。これも選挙戦の際の参考になるといいかなと思います。