◆愛猫を心配して入所を拒否する女性
Aさんはやがて、室温を調整することもできないほど、衰弱。別居家族が2~3日おきに食事や飲み物を届け、猫のお世話をするようになりました。
そして、看取り期の過ごし方を考えてもらう段階になったとき、大福豆さんは併設されているサービス付き高齢者住宅への入居を提案。しかし、Aさんはみーちゃんとちび太ちゃんのことが気がかりで、入所を拒否したのです。
「家族は里親を探しましたが、なかなか見つからず、保健所に……との声も出始めました。保護団体に相談しようかと思ったのですが、貰い手が違うと母娘猫がバラバラになってしまうという現状や、みーちゃんが産んだ子猫の中で、ビビりなちび太だけを手元に残していたAさんの気持ちを汲みたいと思ったんです」
実は同時期、大福豆さん宅では兄弟猫を亡くした豆くんが認知症のような状態になっていました。
「大・福・豆という3匹の男子保護猫を飼っていた我が家なら、2匹を一緒に迎えてあげられる。認知症かもしれない豆が現役感を取り戻せるかもしれないし、Aさんにもときどき、姿を見せてあげられると思ったんです」
そこで、大福豆さんは自分にとって“最後の猫”として、みーちゃんとちび太ちゃんを迎え入れることにしました。