母の葬儀で初めて親族からこの話を聞いたおおたわさんは、母の辛さの根源を知ったという。>

おおたわさん

◆子育ては「できて当たり前」じゃない

――世間では、親子関係をめぐる事件が起こると「母親なのに」と批判されます。一方で、子どもがかわいくない、愛せない、と悩む母親もいます。母性は誰にでもあるものでしょうか?

おおたわ:私には子供がいないので、子育てをしている人の本当の気持ちはわかりません。

ただ、誰にでも育てる適性が備わっているのかと問われたら、そんなことはないと思います。子どもを育てているお母さんは、やらなきゃいけないと思って、いろんな努力をしながら、あらゆる我慢をしながら、子育てしているのでしょう。お母さんたちはみんな偉いなぁ、と思いますよ。

私が母親を見てきて思うことは、どんな母親も正解なんてわからなくて、迷うのではないでしょうか。愛し方、育て方に正解はないし、何が正しかったのかはわからない。その人なりの正解を求めていく以外にないんだろうと思います。

それは逆に言えば、他人がとやかく言えることではないと思うんですよ。

そして、どんな母親でも、子供にとっては、その人がたったひとりの母親なんですよね。

◆母を見捨ててしまった罪悪感

<わたしは、母を見捨ててしまったことで、いまなお埋まらない心の空白にひとりでため息をつく日がある。母が死んで幾年も過ぎたいまですら、かつての苦しさを夢に見る夜がある。>(『母を捨てるということ』より)

――女子SPA!読者に多い30~40代は、自分と母親の価値観の違いに気付き、イライラやモヤモヤを抱えている人が多い年齢だと感じます。どうするのがいいと思いますか?

おおたわ:母親が育ったときとは時代も変わっているので、価値観の違いはありますよね。

私も母にイライラして、ひどいことを言ってしまったり、きつく当たったりしてしまったことがあります。