私生活では東日本大震災の後に故郷の福島のために尽力し、その姿を覚えている人も多いはず。

 “国民的愛されキャラ”が旅立ってしまった喪失感は大きいが、芸能界を見回すと偉大なるエンターテイナーの系譜を受け継ぐ唯一無二の存在も浮かび上がってくる。

「テレビが娯楽の王様だった時代が終わり、老若男女が顔と名前を理解する芸能人は絶滅寸前ですが、数々のドラマや映画で主役を張り、『NHK紅白歌合戦』でも司会も務めた大泉洋は“西田敏行の後継者”の最有力候補と言ってもいいでしょう。西田さん同様、俳優はもちろん、コメディアン、司会、声優、歌手と幅広いジャンルで活躍していますし、芸能史をたどれば、渥美清、森繁久彌、植木等、西田敏行といった偉大な喜劇俳優がいますが、大泉は確実にその系譜を受け継ぐ人物でしょう」(同ベテラン芸能記者)

 俳優としてはシリアスからコミカルまで幅広く演じ分け、歌手や司会者などさまざまな顔を持つ大泉には確かに西田さんと共通点する部分も多そうだが、芸能ジャーナリストの竹下光氏もこう語る。

「『TEAM NACS』の一員として地元の北海道で舞台を中心に活動し、タレントとしても深夜番組に出演する中、96年に放送スタートした『水曜どうでしょう』(北海道テレビ)で大ブレーク。東京進出後は全国ネットの連続ドラマ初出演となった05年放送の『救命病棟24時』(フジテレビ系)を皮切りに数多くのドラマや映画で活躍。篠原涼子さん主演の『ハケンの品格』(日本テレビ系)では主要な役を演じて同ドラマのヒットに貢献し、11年公開の札幌・すすきのを舞台にした主演映画『探偵はBARにいる』では日本アカデミー賞の優秀主演男優賞を受賞、22年放送のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』では源頼朝を演じるなど俳優として存在感を放っています。他方、13年にはエッセイ本がベストセラーとなったり、紅白では司会を務めるほか、自身が作詞を手掛けた楽曲で歌手としても出場するなどマルチな活躍を見せています。輝かしいキャリアや実績を持ちながらも偉ぶるところがなく、時に自虐ネタまで披露したり、軽妙なトークで笑いを誘ったり、スキャンダルとも縁が薄く、高い好感度や親近感を誇る“愛されキャラ”というあたりは西田さんに通じるところがあるかもしれませんね」