さらに一度に口に入れる量が多かったり、ひとりで食べるときもイヤホンをしたまま食べているという仲間さん。イヤホンをしていては、余計に自分の出す音に気が付きませんよね。さまざまな要因が重なって、知らず知らずのうちに不快なクチャラーになってしまったそうです。
◆クチャラーをテーマに大喜利がスタート
「それまではプライドが邪魔して原因を調べようとはしなかったし、本当に友人には感謝しています。上から目線でもなく、白い目でもなく、同じ目線で向き合ってくれたから私も素直になれました。
でも今も無意識にまた音を立ててしまうときは、それもすぐに録音されて、『ねえこれ聞いてみて。……小雨の降る中、水たまりでおっさんがタップダンス踊ってる音みたいでしょ』と、あんたそれ実際に聞いたことあるの!? とツッコみたくなるような例えを出してきたり。ほかにも、『雨上がり、子どもたちが駆け回る。ちゃぷちゃぷ、ちゃぷちゃぷ、梅雨明けの音』など、なんか穏やかな光景が想像できるような“無駄に詩的”でエモい表現をされたり……(笑)」
「エモい」とは、なにか感情を揺さぶられるような、懐かしくノスタルジックなような、そんな何とも言えない感情を表現するときに使われる言葉です。しかし、まさか“クチャラー”をテーマにそんな誌的な表現が生まれるとは。もはや大喜利みたいですね。
「そうそう、なんかもう面白いんです(笑)。変に腫れ物に触るように距離を置かれるのではなくて、ズバッと指摘して笑いに変えてくれる。でも、もう友人にそんなボケる素材を与えないよう、いち早くクチャラーから卒業できるように奮闘中です!」
ずっとコンプレックスでもあった咀嚼音の改善を目指して、友人の助言を素直に受け入れ始めた仲間さん。コンプレックスがなくなる日も、そう遠くはなさそうです。
<取材・文/赤山ひかる イラスト/とあるアラ子>
【赤山ひかる】
奇想天外な体験談、業界の裏話や、社会問題などを取材する女性ライター。週刊誌やWebサイトに寄稿している。元芸能・張り込み班。これまでの累計取材人数は1万人を超える。無類の猫好き。