◆企画にGOサインを出した2つの理由
――そんな中でGOサインを出したのは、なぜでしょう?
村瀬:今回の物語、単にシングルファザーの話ではないんですよね。自分に娘がいたことを知った主人公が父になると決断するまでを丁寧に描いた話なんです。生方さんからそう聞いたときに、それなら僕も興味があるし、生方さんと風間監督と一緒に描く意味があるなと思いました。
あと、これは僕の個人的な話なのですが、僕がかつてプロデュースした『14才の母』(日本テレビ系)の立ち上げと重なる部分があったんです。あのときも、単に中学生が妊娠して母になる話を描きたかったのではなくて、予期せぬ妊娠をした女の子が、産むかどうかを真剣に考え、母になるかどうかを決めるまでにどんな葛藤があるかを丁寧に描こうとしました。あのときも会社からは大反対されたのですが、そこを丁寧に説明して、なんとか通してもらいました。
――なるほど。
村瀬:あとは、何と言っても目黒さん本人がやりたいと言ってくれたこと。僕、目黒さんにはっきり言ったんです。「これは賭けだと思う。もしかしたら、ここまで頑張ってきたものを一気に失う危険性すらあると思うけど」って。でも、彼は「挑戦したいです」と言ってくれました。それを聞いた時に、企画を推進していく覚悟ができたんです。
◆「ここまで意見が割れることは珍しい」レベルでの賛否両論
――今作に関しては、過去2作品以上に賛否が分かれた作品だった印象です。
村瀬:本当ですよね。僕、すごく作品のエゴサをするんですね(笑)。できる限り全員の意見を読みたくて『海のはじまり』とか登場人物の名前で検索して……睡眠時間が足りないのって、それも理由なんじゃないかなってレベルで読んでいます(笑)。
その中には当然反対意見とか批判もあって、今回は本当に賛否両論だなと思いました。特に意見が分かれてると思ったのは「弥生と夏は、くっついて幸せになってください」っていう意見と「絶対にくっつけさせないで」という意見。もう、真っ二つです(笑)