――そうなんですね。
村瀬:だから『silent』のときに世田谷代田駅のベンチに聖地巡礼に来てくれた方がいるように、今後は別れ話をするときはぜひ皆さん経堂駅のホームのベンチに座っていただけたらと思います(笑)。
さらに付け加えるなら、今回は、もともと「海」というのが1つキーワードである中で、海辺の町と東京を繋いでいるという意味でも小田急と親和性があるなと思いました。
◆目黒蓮の魅力は「嫌われることを恐れていないこと」
――あるインタビューで、目黒さんの印象を「どこにでもいる人になりきれる力がより強くなった」っておっしゃっていたのが、すごく印象的でした。どういうときに感じましたか?
村瀬:2年ぶりにご一緒して、役者としての成長はあらゆる面で感じたんですけど、演技力・表現力、感情を形にする力・伝える力がレベルアップしているなと感じました。夏って時としてみんなから「ダメじゃん!」って怒られるような不甲斐ないキャラクターでもあると思うんですけど、そう見せるために、どんな歩き方をしたらいいか、声の出し方をすべきか、すごく考えて表現してくれています。それこそ、背中の曲がり方まで含めて。そういう人を表現するための技術が、シンプルにうまくなっているなと思いました。
――撮影中に成長を感じたこともありましたか?
村瀬:1話で池松さん演じる津野から「この7年のこと、ほんとに、なんも知らないんですね」って言われたときの表情や、大竹さんに「想像はしてください。今日一日だけでも」と言われたシーンでの受け方など、撮影をするごとにどんどん良くなっていきました。日に日に変わっていきましたね。たくさんの役者さんと対峙することを繰り返して、どんどん彼の“受ける”芝居の技術が上がっていきました。技術というよりも心というのが正しいかな、相手のお芝居を受けて、どう防ぐかみたいなところがどんどん進化していました。