◆「毒母」から離れられない娘の心理とは?
――ちょっと待ってください。なぜ、金山さんは、自分を愛してくれない母親と同じ仕事に就こうとし、実家から離れなかったのでしょうか? さっさと家から出たほうが幸せになれると思うのですが。
旦木:毒親育ちの子どもの多くが、大人になるまで自分の親が毒親だと気づかず、親に認められたいあまりに、いつまでも毒親から離れられないんです。離れられないから、苦しめられ続ける。金山さんは母親の共感や愛情がほしくて言動を起こしているのですが、母親には通じず、すべて裏目に出て苦しみ続けていました。
母親は「こうなりたい自分の理想」を娘に押し付けてコントロールを強化し、どんどん自分と娘の境界線がなくなっていく。娘は娘で「母親の愛情が欲しいからそばにいる」という共依存関係に陥ってしまっていたのです。