光林会が運営する、るんびにい美術館は生命を光にするアーティスト集団のARuと協働し、暗闇で“いのちの光のみが見える世界”を目撃する体験シアター「あなたのいのちが光なら。」を9月15日(日)~2025年1月20日(月)の期間、開催している。
完全予約制で、入場は無料。体験は1回30分、1日10回提供される。なお各回の定員は6名だ。
心臓の鼓動から生まれた光で、いのちを感じる体験
るんびにい美術館は、宮沢賢治ゆかりの地として知られる岩手県花巻市にある“アートと憩いの空間”。知的な障害や精神の障害などのある作者が創造した表現作品や、アウトサイダーアートやアール・ブリュットと呼ばれる作品を多く展示しており、アートを通してボーダレス(境界のないこと)を目指している。
先月より、るんびにい美術館がARuと共同で開催中の「あなたのいのちが光なら。」は、科学と芸術の力で普段は目に見えない生命の鼓動を光に変換する体験シアター。暗闇の中で一人ずつ着席し、点滅する光からいのち感じるという内容だ。
この光は、すべて人の心臓の鼓動から生まれたもの。脈拍センサを活用し、心臓の鼓動を血液の流れから読み取り、そのリズムをリアルタイムで光に変換している。
デバイスを通じて、光を遠隔で送ることも可能。体験シアター会場では、会場にいる人の生命の光と、遠隔から届く生命の光が混ざり合っている。
難病・障害のある人による“光の演出”
今回のシアター企画は、るんびにい美術館のディレクターである板垣崇志さんの想いから始まったものだ。
能力や財力、障害の有無、性別や国籍などあらゆる属性にかかわらず、すべてのいのちは等しいと聞くが、そこに実感はあるのだろうか……という問いから「いのちを目撃する」「いのち同士として出会い直す」「いのちによって世界をつなぎ直す」体験を可能にする、光のシアターが発案された。
また、そのシアターに意思を表出するのが難しい人々の、いのちの声を社会とつなぐ役割も与えられないか、という想いもあったそう。