一方、結ちゃんに怒鳴られて意気消沈し、荷物をまとめて糸島の実家をあとにしたアユは天神で遭遇した敵対組織「天神乙女会」の元メンバーとラーメン大食い対決へ。決着がつくと昔話に花を咲かせますが、当時はアユに憧れていたという乙女会メンバーに対し、アユがわりと衝撃的な発言をします。

「私、最初からギャルなんかじゃなかったから」

 カリスマとしてギャル界に君臨していたアユ、ハギャレンの初代総代が「最初からギャルじゃなかった」というなら、だいぶ話が変わってきます。何しろ結ちゃんは、アユがギャルになって好き勝手なことをやって家族に迷惑と心配をかけたことがトラウマになって「平穏な生活」を夢見るようになった女の子ですので、そのアユがギャルだったことが本意じゃないなら、いろいろ事情が変わってきそうです。

 この一言で、だいぶドラマに奥行きが生まれたように思うんです。なんか、ドラマ全体から漂っていたギャル文化に対するそこはかとない興味のなさ、視線の冷たさ、関心の薄さ、リスペクトのなさが、それはギャルに限らず文化を描くうえでいいことではないのだけれど、逆に腑に落ちた気がした。

 そうしておいて、結ちゃんにギャル文字メールでハギャレンを呼び出させて、「ハギャレンはダサくない」ことを糸島の祭りで見せつけてやろうと説得させるくだりは、なかなかダイナミックでありました。

■結果、よしとしましょう

 いずれにしろ、このドラマで初めて結ちゃんがポジティブ方向の意思表示をしてくれたことで、だいぶ見やすくなるように思います。

 ここまでの結ちゃんの心の動きについては時間ばかりかけて、決して丁寧でもスムーズでもなかったとは思うけど(特に、仲良くなるために急にルーリーをメンヘラ化させて夜の街を徘徊させるくだりはどうかと思う)、まあ結果、前を向いたのでよしとしましょう。

 アユの「最初からギャルじゃなかった」という発言は、額面通り受け取れば大きなミステリー要素になります。ようやく、ちょっと続きが楽しみだと思えるようになった『おむすび』。よかったよかった。

(文=どらまっ子AKIちゃん)