正月はハレの日と呼ばれる、一年で最初のおめでたい日。正月に着物を着て初詣に出かけるのは、日本人ならではの過ごし方ですよね。この記事では、お正月におすすめの着物の種類、柄、帯の結び方、髪型など、女性・男性共に初詣に使える着物コーディネートをご紹介します。
正月は着物で決まり!どんな種類・コーディネートがいい?
クリスマスが終わると、その1週間後にはもう正月を迎えます。正月と言えば初詣に親戚回り、新年会など、日本独特のイベントが盛りだくさんです。
来年は正月に着物で過ごしてみてはどうでしょうか?と言われれば、「でも、着物って種類が多くて難しそうだからちょっと…」と敬遠する人もいるかもしれませんね。
実は、着物の種類はそれほど多くなく、基本を押さえておけば、洋服と同じようにいろいろなコーディネートが楽しめます。
まずは着物の種類を知っておきましょう。着物の柄、帯の結び方、着物に合う髪型などもチェックして、正月に日本の粋な着物ファッションを楽しんじゃいましょう!
男性の着物の種類、合う帯も要チェックですよ。
【留袖・振袖・訪問着】
着物には「格」があります。最上級の種類として謳われる着物は、「留袖(とめそで)」、「振袖」、「訪問着」と呼ばれるものです。
留袖の中で最も格の高いのが黒留袖。既婚女性が結婚式や式典などで着るとされています。色留袖もありますが、黒留袖よりは格が少し落ちてしまいます。
振袖は未婚女性が着る礼装で、華やかな柄が多いのが特徴です。初詣の神社仏閣、歌舞伎や芝居の観劇、茶席や酒席など、正月イベントで非常に映えます。
礼装である留袖や振袖より、一段格が下がった種類の着物が「訪問着」。パーティーや結婚式の披露宴でよく着られる略礼装です。既婚・未婚問わず着られるので、母娘で同じ柄のコーディネートを楽しむこともできます。
留袖と訪問着の決定的な違いは、訪問着には肩から胸、袖にかけて一続きの柄が描かれていることです。
全体的に色鮮やかな本振袖よりは、少し控えめで、全体的に色が抑え気味なのが特徴です。淡い色合いの訪問着は、大人の日本女性を美しく見せてくれます。
留袖・振袖・訪問着は、いずれもフォーマルな種類の和装です。いつもと違った、引き締まった気持ちで正月を迎えたい女性は、ぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか?
【小紋】
着物の中でも、気軽に着ることができるのは小紋。その名の通り、着物全体に小さな模様が施されています。
礼装ではないので、カジュアルやパーティーや同窓会などに適しています。また、日常でも着ることができる「外出着」としても活躍します。
小紋はデザインや色合いのバリエーションも広く、また小物や帯の合わせ方次第で、いかようにもコーディネートできるのが魅力です。
初詣に着ていく着物は、フォーマル・カジュアルどちらかといった決まりはありません。ただ、人で混雑する初詣場所には、比較的動きやすい小紋がおすすめです。
かしこまり過ぎず、それでいて華やかで親しみやすい小紋は、着物初心者であったとしても、普段と違う装いを楽しみつつも、違和感なく着ることができるでしょう。
正月におすすめの着物と帯の柄は?
着物を着るのに必ず要るのが帯。着物と帯の色合いや柄によって、全体のコーディネートの印象は大きく変わります。
もちろん、正月のおめでたい雰囲気に合わせることもできます。正月はハレの日とは言え、まだまだ凍てつくような寒さの冬の日が続きます。それならば、寒さを吹き飛ばすような暖色系がおすすめです。
たとえば、オレンジ、濃いめのピンク・ローズカラー、こげ茶、スカーレットといった色合いのものです。
着物の色は白やベージュなど抑えめにしておいて、帯をビビッドピンクやスカイブルーにするなど、メリハリを利かすのもいい方法です。
留袖や振袖といった、フォーマルな着物を考えているなら、柄は松竹梅や吉祥文様、亀甲がしっくりくるでしょう。
また、小紋でカジュアルに決めるなら、椿、水仙、クローバー(シロツメクサ)などの、新春を喜ぶような花柄を選ぶのもいいでしょう。
正月におすすめの帯の結び方ってあるの?
たとえ同じ色・柄であっても、着物は帯の結び方ひとつで、ガラリと印象が変わります。着物には様々な帯の結び方がありますが、いずれもチェックすべきポイントがあります。
<正面から見たときのポイント>
- 帯の高さが身長とバランスがとれている?
- 結び方が緩くない?
- 帯締めや帯揚げがちゃんと整ってる?
- 帯揚げ、帯締めの結び目、衿の合わせの3点が、体の中心線上にそろってる?
- おはしょり(帯下で折り曲げられた生地部分)が長すぎない?
<後ろから見たときのポイント>
- お太鼓(帯を結びあげた時、背中に出る部分)の大きさが身長とバランスがとれている?
- 帯山が背中から離れすぎてない?
- たれの長さは長すぎたり短すぎたりしない?
これらのチェックポイントは、どの結び方であっても同じです。正月に女性らしく、キレイに着こなせるように、ここから代表的な帯の結び方の種類を紹介していきます。
【一重太鼓結び】
まずは着物の最も基本的な結び方である「一重太鼓結び」。
「名古屋帯」と呼ばれる3メートル60センチほどの帯の形状であれば、一重太鼓結びになります。おしゃれ着としての小紋には、一重太鼓結びを使います。
初心者でも挑戦しやすく、初詣に初めて着物を着る人におすすめの結び方です。
【二重太鼓結び】
一重太鼓結びと同じく、着物の基本的な結び方のひとつです。
4メートル30センチほどの長さの、「袋帯」と呼ばれる帯の形状で作ります。二重太鼓結びは主にフォーマルな場面で使うとされています。そのため、留袖や振袖によく使われます。
【角だし結び】
小紋などの外出着によく合う「角だし結び」は、初詣などに出かけるのにもぴったりの結び方です。
お太鼓の下にできるふくらみは、どこか大人っぽく、粋な雰囲気になります。
【銀座結び】
角だし結びをおしゃれにアレンジした、振袖にも小紋にもコーディネートできる結び方です。
名古屋帯を使ったバリエーションで、丸みを帯びたふくらみが、女性らしいふんわりとした優しさを演出しています。
【ふくら雀結び】(振袖)
「ふくら雀結び」は、冬の膨らんだ雀をイメージした、ふっくらとしたシルエットとたれが特徴的。
未婚女性にふさわしい、可愛らしい結び方です。友達同士で振袖を着た際には、チャレンジしてみるのもいいと思います。
【花結び】(振袖)
ふくら雀結びにアレンジを加え、可愛らしさを強調した「花結び」は、羽根の中心を帯締めで結んだ、華やかな結び方です。
左右に広がった羽根部分が、まるで花にとまった蝶のように可憐な印象を与えます。
【立て矢結び】(振袖)
蝶結びを斜めにしたような、立体感のある「立て矢結び」。
羽根が広がって見えるので、とてもゴージャスな印象を受けます。シンプルな柄の振袖にしっくりくる結び方です。華やかにコーディネートしたい人や、背の高い人におすすめです。
【花流水結び】(振袖)
立て矢結びのバリエーションである「花流水結び」は、基本の結び方は同じ。
内側に折り込まれた、たれた下羽根をアルファベットのZの形にすることで、ゴージャスでありながら、優美な女性らしさを強調することができます。
【蝶文庫結び】(振袖)
袋帯の上に、大きな蝶が羽根を広げたようなキュートな結び方「蝶文庫結び」。
羽根は大きめのリボンにも見え、可愛らしい女性を連想させます。左右の羽根を長めにセットするのがポイントです。