同氏の約2年ぶり3度目の個展となる同展では、パステル画を中心とした小作品、また過去の展示から継続して紹介するアルミニウムマウントのペインティング、そしてキャンバス作品約30点の新作の展示を楽しむことができる。
フォックス氏の視点や考察が感じられる作品が展示
同氏の幾何学的に構築された表現は、実在するもののかたちや仕組みに基づいている。しかしそれは単に視覚的な情報にとどまらず、同氏自身の思考を通すことによって、物語を連想させるイメージを生み出しているという。作品は、絵具の層を塗り重ねたのち、引っ掻いたり削ったりすることで現れる複雑なレイヤーでできており、興味深い奥行きを創造している。
同展で中心となる抽象的な印象の作品の合間には、鳥のモチーフや石膏像、建築物などの具象作品が差し込まれるように置かれ、それらからも同氏の作品の対象物や主題への視点や考察が感じられるだろう。
作家を囲んだオープニングレセプションも開催
同展で中心となるのは、パステル作品。同氏は、ドローイングとペインティングの中間に位置するパステル画は、とても興味をそそられる方法だと語る。また最近では、作品を色とりどりにすることを意識し、これまで同氏が多く用いてきた境界ではっきりと区別される色の面や線に加え、色のグラデーションや変化を取り入れようとしている。
その色彩や筆使いは、作家自身の新たな一面、同氏自身の変化を感じ取れるような新鮮な驚きをもたらすものだ。