実はこの女性検察官の正体が重信でした。重信はキイチたちを尾行して計画を察すると、検察バッジをつけて検察に潜入。キイチにぶつかったふりをして盗聴器を仕込み、キイチたちの計画をそのままトレースする形で示談金詐欺の名簿を手に入れます。

 ここからは、キイチと重信、どちらが相手をハメて出し抜くかという知恵比べ。ユキのハッカー能力によって重信の正体を丸裸にし、一度は取引が成功したかに思わせて重信を警察に確保させるまでの段取りは実に爽快、気持ちのいい騙し合いでございました。

 今回は、ハコのみんなの力も大いに借りてミッションを成功させたキイチ。ハコにはチームワークが芽生え始め、コトが終わると幻獣からの分け前も入って大盛り上がり。ハコメンバーに心を開き始めたユキに、キイチは「勘違いするな、あいつらはただの犯罪者だ」と念を押すのでした。

 そして家に帰ったら、玄武、朱雀につづく3人目の幹部・白虎(黒谷友香)の姿が。キイチとユキの部屋には壁一面に幻獣の組織図やらが貼ってあるので、2人が“警察の犬”であることがモロバレ。今回最後の万事休すで「最悪だ~」次回へ。

■情と裏切りのエクスタシー

 潜入した犯罪組織の中で、仲間として仕事をしている連中に助けられ、情が湧いていく。それは、いつか訪れる裏切りへの序章である。

 ハコメンバーがみんな無邪気でお人よしで、キイチとユキを信じ切っている。でも、キイチの言う通り「あいつらはただの犯罪者」なので、心を許してはいけないし、まとめて捕まえるときがくる。

 もうね、この配置だけでよだれが出ちゃうんです。これでハコメンバーの誰かがキイチとユキのために死んでくれたりしたらもう最高なのよね。ノワールは情と裏切りのエクスタシーですから、ハコのみんながいいやつであればあるほど裏切り甲斐があるというものです。

 ここまでちゃんと世界観とコンセプトが固まっていると、ホントに安心して見ていられます。先週も書いたけど、毎週日本語でこの手のドラマが見られるというだけでしばらく楽しいのです。