こんな私でも結婚してくれる?

(写真=aphichato/Shutterstock.com)

自分の意志を貫くということは、それだけ大変な苦労を伴います。

実際のところ、サッチャーの政治家人生は順風満帆にスタートしたわけではありません。オックスフォード大学を卒業し、下院議員選挙に立候補したのは24歳の時でした。サッチャーはこのとき、落選を経験しています。

しかし、捨てる神あれば拾う神あり、とでも言いましょうか。落ち込むサッチャーにデニス(のちの夫)がプロポーズをします。

「ビジネスマンの妻になれば必ず当選できる」との言葉に女性としての喜びも感じるサッチャーですが、「料理とか掃除、子育てなんかより――大切なのは生き方よ」と前置きし、「お茶碗を洗うだけの人生なんて」と答えます。結婚して家庭に閉じこもるだけの人生はイヤというサッチャーの強い意志の表れです。

自身の強い気持ちを伝えたうえで、「分かってくれる?」とデニスに尋ねたところ、彼の答えは「そういう君と結婚したいんだ」というものでした。

自分の意志を貫くことは苦労や批判も伴いますが、最後まで意志を貫いていれば必ず理解者が現れるものです。

サッチャーを作った父の言葉

自分の意志を貫くサッチャーの行動の根底となっていたのは、食料品販売業を営む父の教えだと思われます。

「“考え”が“言葉”になる。その“言葉”が“行動”になる。その“行動”がやがて“習慣”になる。“習慣”がその人の“人格”になり――その“人格”がその人の“運命”となる」

考えが人間を作る、これがサッチャーの父がいつも言っていた言葉でした。インパクトがあり、心に刺さる言葉ですが、強さを感じる全盛期ではなく、サッチャーが少し弱った状態での会話に登場するセリフです。

年老いたサッチャーは認知症を患います。その治療の際の医師との会話で出てきた言葉でした。自身の人生を振り返り、なんとか昔の自分を取り戻そうとするサッチャーは、自身を鼓舞するために人生の教訓を口にするのです。

仕事と家庭の両立、それに伴う苦悩や葛藤など、女性の生き方について深く考えさせられると同時に、参考にしたい!と思わずにはいられないサッチャーの半生。

メリル・ストリープが演じるサッチャーがあまりにもそっくりなので、フィクションなのにすべてがリアルに感じる作品です。自分らしさに悩んだとき、一度チェックしてみてはいかがでしょうか。

文・タナカシノブ(フリーライター)/DAILY ANDS

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