◆授乳時の笑いかけや語りかけはことばの能力の発現に大きく寄与

赤ちゃんに笑いかけるお母さん
 授乳時には、口角筋を3次元に動かしているので、このとき笑いかけたり、ことばをかけたりするのは、それ以外の時より神経系が連携しやすいのである。授乳時の笑いかけや語りかけは、コミュニケーションやことばの能力の発現に大きく寄与すると言っていい。

 その観点からすると、哺乳瓶の授乳は気が抜けないから、案外、顔を見合わせている時間が母乳育児より長いのである。

 我が家の2歳児は、今も夜中に哺乳瓶でフォローアップ・ミルクを飲む。彼は自分でしっかり持つのだけど、それでも寝落ちしたとき顔に倒れてくるので、添い寝している私は手を添えている。だから、どうしたって、顔を見ることになる。

◆哺乳瓶授乳で、顔と顔のコミュニケーションが増える

 息子は4歳まで夜中に母乳を吸っていたけど、2歳過ぎたら、私も寝たまま、彼も寝たまま吸っていた気がする。経験上、孫の哺乳瓶授乳は、息子の母乳授乳よりずっとフェイスtoフェイスのコミュニケーションは多いと実感している。

 それと、哺乳瓶なら、母親以外の人の表情にも出逢えるので、脳的には認知のバリエーションが増えて、悪いことじゃないと思う。

 ね? 母乳じゃなかったとしても、けっして悪いことばかりじゃない。ミルクに頼ったからといって、落ち込む必要はまったくない。

<文/黒川伊保子 構成/女子SPA!編集部>

【黒川伊保子】

(株)感性リサーチ代表取締役社長。1959年生まれ、奈良女子大学理学部物理学科卒業。コンピューターメーカーでAI(人工知能)開発に従事、2003年現職。『妻のトリセツ』『夫のトリセツ』がベストセラーに。近著に『息子のトリセツ』『母のトリセツ』