母乳で育てるか、はたまたミルク授乳にするのか。このテーマは、子育て中のお母さんの間で、何かと悩みの種になりがちです。これに対して、脳科学者の黒川伊保子さんは「哺乳瓶育児は、やり方次第で脳の認知バリエーションが増える」と語ります。

『孫のトリセツ』
『孫のトリセツ』黒川伊保子 著
 そこで、黒川さんの新刊『孫のトリセツ』より、哺乳瓶で母乳をあげることによるメリットやポイントをご紹介します。

◆ミルク授乳だって、母子連携を生み出している

哺乳類をくわえる赤ちゃん
※写真はイメージです(以下同)
 母乳には成分だけでは言い尽くせないいいところがあるのだろう。母子が親密に過ごす時間の効用とか。

 まぁでも、ミルクをあげるときも、赤ちゃんと顔を合わせて、表情を交換し合える。実は、授乳時に顔を見合わせることは、脳にとって、とても大事なのである。赤ちゃんの脳の中では、ミラーニューロンという細胞が生涯で一番、活性化している。

 ミラーニューロンは、鏡の脳細胞という意味。その名の通り、目の前の人の表情筋を、まるで鏡に映すように、まるっと神経系に取り込んでいく役割をしている。このミラーニューロンを使って、赤ちゃんは表情を学んだり、発話をしていくのである。

◆舌を出し入れする「共鳴実験」

 新生児の共鳴実験というのがある。生まれて3時間の赤ちゃんでも、その目の前で、舌を出したり入れたりすると真似するのである。

 ということは、とりもなおさず、生まれて3時間の赤ちゃんでも、目の前のピンクの物体が、自分の身体のどこに当たり、どうすれば同じことができるか知っているということ。この奇跡を作り出すのがミラーニューロンってわけ。

 ちなみに、ご自身の孫でこの実験をするときは、孫が目を開けているときに、彼(彼女)の目から15センチくらいの場所に口元を持っていって、最初は、舌を出したままゆっくり揺らす。

 やがて、出したり入れたりを繰り返す。我が家の息子も、この実験に応えてくれた。ただし、「気が向かない赤ちゃん」もけっこういる。この実験が成功しないからといって、心配しないでね。