また母は、大相撲の中継をテレビで見ながら餃子を包むことが多かったのですが、相撲を楽しみながら楽しそうに餃子を黙々と包み続ける姿勢は、「深刻そうな顔をして取り組むことだけが集中ではない」ということを教えてくれました。

◆母の工夫②自分は苦手でも、子どもが食べたがるメニューを真剣に作る母⇒おいしいクリームパスタやグラタンを作ろう!

私たち⇒苦手分野にチャレンジする姿勢を見せてもらったと同時に、母への感謝や信頼感が増した

ミルク料理
母は乳製品が大の苦手。おいしさがわからない中で、子どもたちに味見を任せながら、おいしいミルク料理をたくさん作ってくれました
 そしてもう一つは、自分が苦手とするメニューでどうにか工夫して子どもたちを喜ばせることでした。母は乳製品が大の苦手でしたが、子どもはグラタンやクリームパスタが大好物。自分がほとんど食べられない中で、嫌な顔をすることは一度もなく、子どもたちに味見を任せながら頻繁に食卓に出してくれました。

 苦手を克服するためにはどうしたらいいのか? ということを考えさせられるとともに、母に対する無二の信頼や感謝が芽生えたことは、今の親子関係にもつながっています。

 母の料理には子育てのヒントがたくさん隠れていました。そしてこのような経験を通して実感するのは、料理には大切なコトを伝えられる力があるということ。記事をご覧になったみなさまにとって少しでもヒントになればうれしく思います。

<文/食文化研究家 スギアカツキ>

【スギアカツキ】

食文化研究家、長寿美容食研究家。東京大学農学部卒業後、同大学院医学系研究科に進学。基礎医学、栄養学、発酵学、微生物学などを学ぶ。現在、世界中の食文化を研究しながら、各メディアで活躍している。女子SPA!連載から生まれた海外向け電子書籍『Healthy Japanese Home Cooking』(英語版)好評発売中。著書『やせるパスタ31皿』(日本実業出版社)が発売中。Instagram:@sugiakatsuki/Twitter:@sugiakatsuki12