江戸木目込技法による雛人形の企画・製造・販売事業を展開する工房ひな雛は、伝統的工芸品として認定された雛人形としては、日本初の瀬戸焼で製作された入れ目の雛人形10種の量産、販売を開始した。

一般的な雛人形に比べて1/2程度の大きさ、伝統的工芸品でありながらも可愛らしいデザインなど現代のライフスタイルに合うよう設計している点がポイントだ。

工房ひな雛の理念のもと伝統的工芸品の雛人形を開発


伝統的⼯芸品はおよそ100年以上続く製法、原材料、主に⼿作業で製作を⾏なっていることなど、工業的な製品が主流の現代においては、クリアすることが難しい基準が多くある。

その中で認定を受けた雛人形の伝統的工芸品は過去から脈々と続く品が多く、伝統的工芸品という製品の特性からも新たな製品はなかなか生まれない環境にあった。


同社には、古来から続く伝統的な素材や製法を用いて確かな品質の「良いもの」を届けるという工房ひな雛の理念がある。

その理念に基づき、現代の生活者の多くが雛人形に求められる可愛らしさ、モダンさ、扱いやすさを実現する伝統的工芸品の新しい雛人形を製作したいという想いがあった。

そこで、国内屈指の技術を持つ頭師とともに伝統的工芸品の基準を満たす瀬戸焼で製作した入れ目の雛人形の頭(顔)を開発を行った。

江戸木目込人形おける伝統的工芸品の前提条件

江戸木目込人形において、伝統的工芸品として認定されるためには人形の胴体(ボディ)、人形の頭(顔)、人形の衣装の3点が伝統工芸品の前提条件を満たしていることが必要となる。

同社が製造する雛人形はその大部分の品が伝統的工芸品の基準を満たす品だが、現代的で可愛らしく仕上げるために同社の雛人形ではガラスの入れ目を使った頭(顔)を採用している。

ガラスの入れ目の頭は、製作の難易度の高さから従来石膏で製作をしており、「伝統的(およそ100年)に使用されてきた原材料」という基準に合致しなかった。